10年も前
当時30歳だった次男の親友たちに結婚ブームが訪れた
次男は人づきあいが多岐にわたっている
月に何回も祝儀袋に現金を詰める次男を目撃して
(またかよ 大変だな)
と わがことのようにため息をついたことがある
初めて目撃したとき 3万円も入れているので
「よほど世話になった人なんだ」
と思わずつぶやいたら
「ただの友達だよ」
という答えが返ってきた
2,3やりとりして
親友の結婚なら3万円は相場だということが解った
当時の次男は成功失敗を繰り返したが
うまくいってるときはそのくらいの祝儀は苦にならなかった
ひんぱんに結婚式に出かける彼に
「きみも早く結婚してもとを取れよ」
と 声をかけた
いまだに独身である
次男より4歳年長の長男は
友達の結婚式にはあまり出ることがなかった
結婚の案内状はよくきた時期があって
1,2度は出席したのかな
売れないカメラマンで収入が少なかったので
出たくても出られなかったのだろう
でも 出るときは3万円包んでいた
この前
サラ金のATMコーナーから顔見知りの若者が
バリッとっめかしこんだ姿で出てきた
派遣で働いていて
年収は180万円ぐらいと聞いたことがあるので
「借金かい?」
と 声をかけた
「ええ お祝い金の工面で」
「相場は今も3万円なの?」
「ええ まあ…」
彼は曖昧にうなずいて こう言った
「欠席にしようと思ったんですけど どうせ後で取られますから、同じ額を」
「年に何回もあったら たまんないな」
「姿くらましたのもいますよ 出せなくて それが嫌で」
今どきの若い人は見栄を張らなくてはいけないので
ストレスかかかるなあ と同情した
職を転々としていた時代
高校時代の親友の結婚式に無理して出かけた
大分経って飲み会で会って
「お前かもらうわけにはいかないんだよ」
と そっくり返してくれた
今は昔のことかなあ