①労働契約
(労働契約の成立)~労働契約法
第六条 労働契約は、労働者が使用者に
使用されて労働し、使用者がこれに対して
賃金を支払うことについて、労働者及び
使用者が合意することによって成立する。
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●合意によって成立
書面等の要件はない
(この法律違反の契約)
第十三条 この法律で定める基準に
達しない労働条件を定める労働契約は、
その部分については無効とする。
この場合において、無効となつた
部分は、この法律で定める基準による。
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●その部分について無効
⇒強行的効力
●無効となった部分
労働基準法で定める基準で
補充して引きあげられる。
⇒直律的効力という
②労働条件の明示
(労働条件の明示)
第十五条
使用者は、労働契約の締結に際し、
労働者に対し て賃金、労働時間
その他の労働条件を明示しなければならない。
この場合において、賃金及び労働時間に
関する事項その他の厚生労働省令で
定める事項については、厚生労働省令で
定める方法により明示しなければならない。
②前項の規定によつて明示された
労働条件が事実と相違する場合に
おいては、労働者は、即時に労働契約を
解除することができる。
③前項の場合、就業のために
住居を変更した労働者が、
契約解除の日から十四日以内に
帰郷する場合においては、使用者は、
必要な旅費を負担しなければならない。
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●明示
∇絶対的明示事項(必ず明示)
・労働契約期間
・期間の定めのある労働契約を
更新する場合の基準
・就業場所、従事すべき業務
・始業終業時刻、所定労働時間を
超える労働の有無、休憩休日
・賃金、計算方法、支払方法
締め切り、支払時期、昇給
・退職
∇相対的明示事項(定めがある時は明示)
・退職手当
・臨時の賃金、賞与
・労働者負担の食事、作業用品等
・安全および衛生
・職業訓練
・災害補償及び業務外の傷病扶助
・表彰、制裁
・休職
☞派遣の場合は「派遣元」が明示
☞退職に関する事項は絶対的・書面交付
退職手当に関する事項は相対的・書面不要
ーーー判例ーーー
中途採用者の初任給は、新卒の下限に
位置付ける内部運用基準があるにも
かかわらず、求人の際に新卒の平均給与を
受けることができると誤信させる説明が
あった場合、15条1項違反が成立し、
不法行為責任も負う。
(東京高判平12.4.19日新火災海上保険事件)
●方法
書面の交付
⇒昇給以外の絶対的明示事項は
書面の交付
⇒FAX可、メールは印刷できるなら可
※希望した場合
●即時解除
他の労働者の相違ではできない。
●必要な旅費
住所変更前の住居までの
旅費にとどまらず
父母、その他親族の
保護を受けるときは
その者の住所までの
実費も含まれる。
就業のために移転した
家族の旅費も含まれる
③労働者の長期人身拘束の防止
(契約期間等)
第十四条 労働契約は、期間の定めの
ないものを除き、一定の事業の完了に
必要な期間を定めるもののほかは、三年
(次の各号のいずれかに該当する
労働契約にあつては、五年)を超える
期間について締結してはならない。
一 専門的な知識、技術又は経験
(以下この号及び第四十一条の二
第一項第一号において「専門的知識等」という。)
であつて高度のものとして厚生労働大臣が
定める基準に該当する専門的知識等を
有する労働者
(当該高度の専門的知識等を必要とする
業務に就く者に限る。)との間に
締結される労働契約
二 満六十歳以上の労働者との間に
締結される労働契約
(前号に掲げる労働契約を除く。)
法附則第百三十七条
期間の定めのある労働契約
(一定の事業の完了に必要な期間を
定めるものを除き、その期間が一年を
超えるものに限る。)を締結した
労働者(第十四条第一項各号に規定する労働者を除く。)
は、労働基準法の一部を改正する
法律(平成十五年法律第百四号)附則
第三条に規定する措置が講じられるまでの間、
民法第六百二十八条の規定にかかわらず、
当該労働契約の期間の初日から一年を
経過した日以後においては、その使用者に
申し出ることにより、いつでも退職することができる。
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●「3年」は見習い期間も含まれる
●一定の事業の完了に必要な期間
建設工事などはその完了機関まで
⇒10年のときは10年でも良い
●超える期間の締結
罰則が適用され、3年または5年に短縮される。
☞「辞めたくても辞められない」
「辞めたくないのに辞めさせられる」
双方をくみ取って原則3年(例外5年)としている
●専門的な知識、技術又は経験
厚生労働大臣が定める基準に該当
↓
∇博士の学位を有するもの
∇公認会計士、医師、歯科技師
弁護士、社労士、税理士
∇IT系資格取得者
∇システムエンジニア
など
⇒年収見込が「1075万円」を下回らないもの
⇒その他の例外
都道府県労働局長の許可を受けた使用者が
行う認定職業訓練の受講生との契約期間は
職業能力開発促進法に定める範囲内
●労働者からの解約
期間の定めがある労働契約
⇒一定の事業完了に必要な期間を
定めるものを除き、期間が1年を
超えるものに限る
であっても契約期間初日から1年を経過
した以後はいつでも退職することができる。
⇒高度専門知識等と60歳以上の
上限5年とされる労働者は除かれる