【スリーウッド】さんで、
上質なスコッチと葉巻を燻らせて、
心の平穏を待っていました。
隣りの席に座った、
酒場慣れしていない
若者が乱れていました。
仕事を辞めたとか。
マスターは「柳に風」のごとく、
その愚痴を受け流していました。
矛先が私に向きました。
呂律の回らない口調で言うのです。
「若輩者に何か助言を下さい」と。
深いため息と共に、
モンテクリストを吐き出した後、
いかにも面倒にこう言いました。
「負けないこと。
投げ出さないこと。
逃げださないこと。
信じ抜くこと。
駄目になりそうな時、
それが一番大事だよ」と。
幸か不幸か若者には通じず、
なぜかえらく感心されましたが、
カウンターにいたおじさん達は、
一同腹筋に力を入れて堪えました。
酒場には色々な人生が集まります。
人生の最良の時も最悪な時も、
酒は黙って寄り添ってくれる。
こんな時代だからこそ、
20時迄でも開けて頂ける事は、
とても有難い事です。
若者には本当はこう言いたかった。
酔って愚痴るな。
酒場で愚痴るな。
ウイスキーで流せ。
葉巻で煙に巻け。
何も言うな。
#伊集院賑やか #酒場の流儀