櫛木理宇さんの同名小説を原作に、WOWOWが製作したドラマ「鵜頭川村事件」(全6話)。

Netflixで観られるようになったので、飛び付いて観ました、が…アセアセ



物語は、行方不明になった妻・仁美(蓮佛美沙子)を探しに、仁美の出身地である鵜頭川村を訪れた岩森明(松田龍平)が、大雨で村に閉じ込められた上、村人たちの対立と謎の殺人事件に巻き込まれて行くというもの。


上矢印ここに映っている蓮佛美沙子さんは、行方不明の妻の妹で、1人二役。


私が今、著作を読み漁り中の櫛木理宇作品の中でも、本作の原作小説はとても面白く、櫛木理宇さんらしい鬱屈とした嫌な感じが全編に漂う傑作でした。

その実写ドラマ化ということで、とても期待していたのですが…。

いやあ〜、ここまで酷い改悪は久々に見たかもアセアセ



ドラマのあらすじを読んだ時に、「妻、生きてる設定なんだ」(原作では病気で亡くなっており、鵜頭川村には墓参りで訪れている)というのはまず思ったのですが、まあ行方不明の妻を探しに…という方がドラマ的には面白いし、そのくらいの改変はよくあることだと、それほど気にしていなかったんですよね。

でも、ドラマを観ていると、原作とはあまりに何もかもが違いすぎて、ちょっとこれはどうなんだろうと思いましたアセアセ



まずね、エイキチ祭りなんてものは、原作には出て来ません。

時代設定も違えば、登場人物も職業から性別から変更されている者が多すぎるし、主人公の岩森にしても職業変更の上に不必要なワケアリ人物で、もう、まったくの別物ですやんタラー

極め付けは、大雨で封鎖された村の中で起こる殺人事件の真相で、ネタバレはしませんが、まるで2時間サスペンスみたいな動機に苦笑してしまいました。



原作の時代設定は、昭和後期。

小さな田舎の鵜頭川村では、矢萩家と降谷家の対立に加え、男尊女卑も顕著。

大雨で村が封鎖され、備蓄食糧の盗難や殺人事件で皆が疑心暗鬼に駆られる中、1人の青年の煽動で若者を中心に起こる暴動と、その結末。

集団としての村人の中に蓄積されて行く不満や鬱屈をエピソードの積み重ねで丁寧に紡ぐと共に、個としての1人の青年の内に燻り続けた怒りが噴出する様をリアルに描いていて、それらは相乗効果でとても嫌な気持ちになる物語を生み出していたんですよね。

そこがこの原作の魅力で、私も大好きなところだったんですが、ドラマは何だか全てが薄っぺらく思えましたショボーン



漫画の実写化で原作者の方が自死するまで追い詰められてしまった事件は、まだ私たちの記憶に新しいところですが、あんなことが実際に起こってしまう前から、あまりに原作とかけ離れた内容のドラマや映画を観るたび、私はいつも「原作者の方はこれで本当に良かったのかな」と考えずにはおれませんでした。

漫画(小説)とドラマ(映画)は別物と割り切っている原作者の方もいると聞くし、原作者が納得しているなら余計なお世話なのかも知れませんが、でもファンは「別物」と割り切れる人の方が少ないと思いますよアセアセ

出来上がったドラマを観て、原作者の櫛木理宇さんがどう感じられたのかは知りませんが、私は作品のファンとして、このドラマには納得できませんでした



ここまで何もかも、肝心の事件の真相まで変えてしまうなら、オリジナルで作れば良かったんじゃないかと思います。

櫛木理宇さんの名前と、作品タイトルが欲しかったんですかね?

原作小説の方が100倍、重厚感がありますので、このドラマを観ただけで満足せずに、ぜひ小説を読んで頂きたいと思います!!



kagamiko的評価

今回ばかりはさすがに点数は付けられない






コミカライズの方が、多分、原作に忠実っぽいです。