今回は、WOWOWで放送された人気シリーズ「殺人分析班」から、「石の繭」「水晶の鼓動」そしてスピンオフである「悪の波動」を鑑賞しました。
八木沼雅人は、このスピンオフで描かれた一連の事件に巻き込まれてさえいなければ、その後、行方不明のままだった母親の遺体を見付けても、きっと静かに弔うだけで、トレミーにはならなかったのではないかと、そう思わずにはいられませんでした。
私はWOWOWに加入していませんが、Huluで観ることが出来ましたよ^_^
実は、このシリーズの事を知ったのは、Huluや Netflixに新作として上がって来た、シリーズのスピンオフ作品「悪の波動」がきっかけでした。
HuluとNetflixではタイトル画像が異なるのですが、Huluは作品本来のタイトル画像を使用していて、その写真を見た私は、一瞬で心を鷲掴みにされてしまいました。
それが、こちらなんですが
頬杖を突き、こちらを観察しているかのような、その表情。
背後には、首吊りを思わせる影や、縛られた手首などの、不穏なイメージ画像。
グリーンとオレンジの混ざった色味も良くて。
「これ観たい!」と思って概要を読んだら、盛大にネタバレしてたというね。
はい、ここからネタバレありますので、知りたくない人は読まないで下さいね。
ちなみに、こちらはNetflixのタイトル画像
いわば、1作目「石の繭」の前日譚に当たる作品なんですね。
というわけで、私は「石の繭」の犯人は誰なのかが分かった状態で観るハメになったのですが、それを踏まえてのそれぞれの感想、観た順に沿って行ってみましょう(前置き、長っ!)
「石の繭 殺人分析班」(全5話)
刑事だった父の後を継ぎ、警視庁捜査一課十一係の刑事となった如月塔子(木村文乃)。ある日、廃ビルの地下室で、床にセメントで塗り込まれた死体が発見された。犯人は一体何故、こんな殺し方をしたのか?捜査会議が始まったが、その最中に"トレミー"と名乗る犯人から捜査本部に電話が入り、塔子が交渉相手となる。殺人に関するヒントを提示しながら、警察を愚弄・挑発するトレミー。やがてトレミーから、第二の犯行予告の電話が入る。そして予告通り、第二の犠牲者が出た。被害者は、またもセメントで塗り固められていた。
(公式サイトより抜粋)
殺人事件が好きです!でも、猟奇殺人事件は、もーっと好きでえす!
はい、通報されそうな文章ですが、これの元ネタ分かった人、いるかな?(いたら、お歳が知れますぜ)
ちなみに、最初は「事件」と入れていなかったんだけど、ヤバ過ぎたので足してみました(抜いて読んでみて!)
ま、それは置いといて。
ドラマや映画の中の殺人事件は、出来る限り残酷な手口だと嬉しくなるアタシ(←通報しないでね)。
本作の殺害方法は、生きたままセメントで固めるというもので、固めた後は人の形になってるんですね。
ので、警察が発見後の見た目にはそれほど強烈なインパクトはないのですが、ドラマが始まってすぐの、犯人が被害者を固める作業工程はなかなか攻めていたと思います。
これぞ警察ドラマ!という感じ。
配役から犯人がバレる、ドラマあるあるですね。
でも、古川雄輝さんの演じるトレミーはとても魅力的でしたし、ドラマ自体も非常に面白かったです。
全5話というのも、ちょうど良い長さでした。
「悪の波動」(全5話)
2014年。川崎市内で女性ばかりを狙った連続殺人事件が起きる。被害者は皆、首を吊られて、いたぶり殺されており、世間では“首くくり殺人”などと呼ばれていた。犯人の手掛かりが掴めず、警察の捜査は難航していたが、捜査一課の刑事・井口(池田鉄洋)は、この快楽殺人犯の容疑者としてある男をマークしていた。その男の名は、野木直哉(古川雄輝)。身元を詐称し、人前から気配を消して、息を潜めて生活する暮らしぶり。彼こそ、世間を騒がせた“昭島母子誘拐事件”の被害者・八木沼雅人だった。野木は、隣人・吉佳を巻き込みながら、捜査網から逃れようとするが、その中である事実に気付き…。
(フィルマークスより)
いやあ〜、凄かった!!
何が凄かったって、古川雄輝の存在感!!
寡黙で、表情の変化もほとんど見られず、存在を消して暮らしているにも関わらず、ダダ漏れる儚さと美しさ。
思わず守ってあげたくなる無垢さの向こうから、時折り顔を見せる危うい凶暴さ。
「石の繭」でもそうでしたが、彼の食べ方の汚さも、異様さと共に哀しさを誘うのです。
八木沼雅人は、このスピンオフで描かれた一連の事件に巻き込まれてさえいなければ、その後、行方不明のままだった母親の遺体を見付けても、きっと静かに弔うだけで、トレミーにはならなかったのではないかと、そう思わずにはいられませんでした。
彼の根底には渦巻く怒りがあったとしても、それが表出する瞬間が時々あったとしても、同じ気持ちで傍に寄り添ってくれる存在があれば、信頼した相手が最後まで裏切らずにいてくれれば…。
不遇の殺人鬼・トレミー誕生秘話、オススメです!
「水晶の鼓動」(全5話)
警視庁捜査一課十一係の刑事・如月塔子(木村文乃)は、日本中を震撼させた連続殺人犯"トレミー"の事件を解決に導いたが、一年経ってもその時に受けたトラウマに苦しんでいた。ある日、深紅に染まった部屋での猟奇殺人事件が発生する。現場に残された手掛かりを元に捜査を進める塔子や警部補の鷹野(青木崇高)だったが、見知らぬ男に尾行されている事に気付く。その男を捕らえようとした瞬間、近くの建物で爆発が起こる。未曾有の危機に直面する警察。果たしてこれは、偶然なのか?
(公式サイトより抜粋)
めっちゃ泣けた〜!!
猟奇殺人とは言え、殺され方は首を掻き切られているだけで、それほど驚くような手口ではないのですが。
部屋中が真っ赤に染められているのも、血液ではなくペンキなのです。
それらが解き明かされて行く過程、すべての伏線が回収される瞬間は、とても気持ちが良かったですね。
「石の繭」では警察を脅かし、塔子に消えない心の傷を残した彼が、今作では何と味方に⁉︎
ラスト、地下鉄構内に仕掛けられた爆弾を解除するため、刑務所の中のトレミーとリモートで繋がる塔子。
2人の関係は、まるで「羊たちの沈黙」のレクター博士とクラリスのよう。
多くの命を背中に背負った重圧と緊張に震える塔子に、関係のない話を振るトレミーの優しさ。
塔子と画面越しに目が合うと、そっと俯き、視線を外すトレミーの恥じらい。
八木沼雅人、その本来の姿に、涙が溢れて止まりませんでした。
特に、好きな食べ物の話になった時、「ハンバーグ」と答えるトレミーには号泣。
これは、先に「悪の波動」を観ておいて良かったです。
塔子がトラウマを克服して行く様子も、塔子と鷹野の間の信頼感も、どれも見応えがありました。
シリーズにはまだ「蝶の力学」という続編もあるのですが、こちらがWOWOW以外の配信サービスに流れて来るには、もう少し時間が掛かりそうですね、残念!
こちらは既にたくさんの単行本が刊行されており、どれも面白そうなんですよね。
特にタイトルが凄く良いなと思っていて、今回ドラマ化された作品も、「石の繭」は割とそのままだけど、「水晶の鼓動」は全体のイメージをよく表しているし、「蝶の力学」もちょっと興味を引かれますよね。
ちなみに「悪の波動」は原作のないオリジナルストーリーですが、こちらも世界観に沿った良いタイトルだと思います。
小説の方も、すべて「○○の○○」というタイトルの付け方で、面白そうな作品が多く、読んでみたいなと思っています^_^
「殺人分析班」シリーズ、オススメです。
WOWOW以外でも、U-NEXT、Hulu、TELASA等で配信中!
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kagamiko的評価
★★★★★