さてさて、「同級生」「his」「ギヴン」「ひだまりが聴こえる」…列挙されたこのタイトルだけ見て、その共通点が分かる人はどれくらいいるのでしょうか。
まあ、中でも「his」は映画ファンからも高評価を得て、名も通っていると思うので、この1本でピンと来る方もおられるかも知れませんね。


そうです。
これらの作品は全て、LGBT(というかBL)をテーマにした映画なんですね。
立て続けにこれだけ観ましたので、短めにご紹介して行こうと思います。
タイトルは観た順番に並んでいますので、まずは「同級生」から…。


こちらは、中村明日美子さんの漫画のアニメ映画化作品です。
Netflixでたまたま見付けて、時間も60分と短かったので、軽い気持ちで観てしまったのが全ての始まり。
とにかく、主役2人の男の子たちが可愛くて!
校内で一番頭が良くて、秀才メガネの佐条利人。
バンドをやっている、金髪頭の草壁光。
「ジャンルの違う」2人でしたが、合唱祭を前に、ひょんなことから草壁が佐条の練習に付き合うことになったのをきっかけに、少しずつ距離を縮めて行って…というお話。


個人的に、佐条(写真右)の顔がどストライクだったのもあり、2人の恋模様にキュンキュンしっぱなしでしたね〜。
何度「もう〜っ、この子たちは〜っ!」と悶絶したことか(^_^;)
キャッチコピーが「まじめに、ゆっくり、恋をしよう。」っていうんですが、そういうの、何かいいですよね。


上矢印こういうシーンも何度かあるけど、そのどれもが、とても綺麗…。
絵が、アニメのパッキリした色遣いではなく、水彩画っぽい雰囲気だったのも、お話の内容に合ってて良かったと思います。

映画は、原作漫画の1冊分の内容で終わりますが、漫画の方は、この後も「卒業生・冬」「卒業生・春」「OB(全2巻)」と続きます。
ワタクシ、彼らのその後が気になって、漫画、全部買っちゃいましたよ(^◇^;)
しかも、スピンオフ作品の「空と原」まで。
でも、「買って良かったな〜」と思わせてくれる作品でした!



お次は「his」です。
こちらは、気になっていたものの、映画館で見逃してしまった作品でしたが、Blu-rayを購入して鑑賞しました。


基本的に私が映画のDVDやBlu-rayを購入するのは、映画館やレンタルで一度観て、何度でも観たいと思った作品か、どうしてもメイキングなどの特典映像が見たくなった作品に限りますが、今回は何も見ない内からポチってしまいました。
色々な方のレビューを読んで評判が良いのは知っていたし、それより何より、宮沢氷魚さんが主演だったからです。
彼の、向こうが透けて見えそうな透明感たるや、なんとも言えない魅力ですよね。
本作では、農作業や薪割りなど汗臭いシーンも多いのですが、それでもその透明感は健在でしたね。


ストーリーも、今まで観て来たLGBTを扱った作品とは少し角度が違って新鮮でした。
ゲイであることを隠し、田舎の村でひっそりと暮らす青年・井川迅(宮沢氷魚)。
そこへ、ある日突然、大学時代に別れた元カレ・日比野渚(藤原季節)が現れる。
しかも渚は、あれから女性と結婚し、娘まで儲けていたが、その妻とは離婚調停中だった…。


ゲイの人でも、女性と結婚して子供を作って普通の家族や生活を手に入れたいと願うこともあるというのは、以前、NHKで放送していた「腐女子、うっかりゲイに告る。」(以下「腐女子」)というドラマで初めて知ったことでした。
でもやはり、恋愛対象は男性なので、その部分を隠し切れなくなると、本作のように離婚に至ってしまうんですね…。


迅と渚は、村の人々に自分たちがゲイであることをカミングアウトするのですが、それがかなり簡単に全員に受け入れられてしまう部分は、それこそ「腐女子」の純くん(金子大地)の言葉を借りれば、ちょっと「ファンタジー」な気がしました。
でも、映画だからそういうことがあってもいいのかも知れないし、こうしてLGBTの人たちに対する理解を深めて行って…と言うと傲慢だけれど、要は偏見がなくなって、いつかそれが「ファンタジー」ではなく「ごく普通の感覚」になれば良いなと思います。
迅と渚はこれまでたくさん傷付いて来たのだろうし、村の人たちとはカミングアウトする前から良い関係を築いていたので、この展開は監督の強い願いが込められていたのかも知れませんね。


あと、Blu-rayの特典映像も、見る価値のあるものでした。
特に、明治大学で開催されたトークセッションは必見です。
その中で、司会の方が「2018年の邦画トップテンの中で、ゲイの出て来る作品はたった1本。かつ、セリフのあるゲイの役はたった1人だった」と言っていました。
どの作品がそうだったのかは分かりませんが、2018年と言うと、田中圭さん主演の連ドラ「おっさんずラブ」が放送された年。
あのドラマのヒットを機に、LGBTを扱った映像作品が凄く増えたし、その作風が必ずしも重くなくても良いという風潮も生まれたと思っています。
やはり、「おっさんずラブ」は偉大です。



続きまして、「ギヴン」。
同級生」を見たら、Netflixにオススメされた、全11話のアニメ(漫画原作)です。


付き合っていた幼馴染みに自殺されてしまった真冬は、彼が遺したギターをいつも大事に抱えていた。
そのギターは弦が切れている上に、自分は演奏する技術もない。
そんなある日、真冬は、バンドをやっている立夏と校内で出会い、彼にギターを直してもらう。
それが縁で、ギターを教えてもらうことになり、立夏のバンドにも加入した真冬。
バンドには他に、ベースの春樹と、ドラムの秋彦がいて、彼らの恋愛模様とバンド活動が描かれる。


「バンドのメンバー全員が、男に恋してるなんてことあるの?」というのが率直な感想でしたが、そこはBLを前提に作られた作品なので…。
メインは真冬と立夏の関係なんですが、立夏はともかく、真冬の心理描写がほとんどないので、死んだ元カレから立夏に気持ちが移ったタイミングとかが、よく分からなかったです。
でも、第9話が神回であることは分かりました!
立夏の作った曲に真冬が歌詞を付けてライブで披露するはずが、どうしても歌詞が書けない真冬。
仕方なく、インストで行こうと決めたライブ本番で、いきなり真冬が歌い出すシーンは、ちょっと鳥肌が立ったかな。


このアニメ、オープニングの主題歌もカッコ良くて好きでしたが、劇中で披露されるバンドの曲も凄く良いし、何も知らない真冬に立夏が機材のことなどを丁寧に説明する場面も多く、「バンド」という設定がBLのお飾りになっていないところは、とても好感が持てました。
やはり音楽ものは、映像化すると生き生きしますね。
アニメの続きが映画館で公開されるらしく、ちょっと観てみたいですが、本作は人気があるようなので、人が多いんだろうなあ。
Netflixで同時公開してくれないかな?



最後は「ひだまりが聴こえる」です。
本作は、「同級生」でピュアピュアなBLにハマってしまった私が、他に何かないかと「BL  ピュア」で検索したら(「何してんの」というツッコミは受け付けておりません)、いくつかのサイトで名前の上がっていた漫画の映像化作品。
TSUTAYAディスカスで、レンタルしました。


中学生の時に難聴を患ってしまった航平。
大学に入っても、彼は人と距離を置いて生活していた。
そんなある日、航平は、声がデカくて明るくて思ったことをすぐ口にする同級生・太一と出会う。
太一に授業のノートを取ってもらう代わりに、航平は母親に太一の分の弁当も作ってもらい、2人はギブ&テイクの関係に。
しかし、太一のストレートな言葉に救われ続けて来た航平は、いつしか太一に友情以上の気持ちを抱き始め…。


本作は、BLというか、その手前のボーイ・ミーツ・ボーイ的な作品でした。
航平も太一も、心理描写は丁寧にされていたと思いますが、キャストにちょっと問題が…。
航平役の多和田秀弥さんに関しては、顔もボーイッシュな女性のような感じで綺麗な人だなと思ったのですが、太一役の小野寺晃良さん、ちょっと幼すぎやしませんか(^_^;)


どう見ても中学生か高校生で、2人が大学の同級生には見えませんでした。
キスシーンも軽めのが最後の方に1ヶ所だけあったのですが、「これ、いいのかなあ、大丈夫なのかなあ」って、何かヒヤヒヤしてしまいました。
この記事を書くに当たって、やっぱりどうしても気になるので調べてみたら、公開当時、多和田さんが25歳だったのに対し、小野寺さんは19歳
確かに顔は可愛かったけど、やっぱり複雑…。



とまあ、一気に4本、ご紹介してみました!
中でもオススメは、やはり断トツで「同級生」です!
今年は、劇場公開を控えたBL作品も、結構たくさんあるみたいですね。
成田凌大倉忠義がW主演の「窮鼠はチーズの夢を見る」なんて映画もあって、ちょっと気になっています(だって、2人とも美形なんだもん!)
そして私は、今後もピュアピュアBL作品に注目して行こうと思います^_^