明晰夢の検出と夢見者とのリアルタイムコミュニケーション | 科学的思考の窓のブログ

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最初に明晰夢の検出可能性を報告したのは、1981年にStephen P. La Bergeらによる、医学誌「Perceptual and Motor Skills」に掲載された「Lucid Dreaming Verified by Volitional Communication during Rem Sleep」と言う論文だろうと思います。

論文タイトルは「レム睡眠中の自発的コミュニケーションによる明晰夢の検証」です。

そして、2021年には、「Real-time dialogue between experimenters and dreamers during REM sleep」という論文が、Karen R Konkolyらにより、医学雑誌「Curr Biol」に発表されました。

この論文タイトル「レム睡眠中の実験者と夢を見ている人とのリアルタイムな対話」においては、覚醒状態に移行するのを待つのではなく、夢を見ている最中に、見ている夢について、実験者がインタビューすることが可能であることを示す証拠を得ようとしています。

レム睡眠中であることは、標準的な睡眠ポリグラフ法で確認され、夢を見ている参加者に質問を伝えるために感覚刺激(音声、光など)を用いてます。

 

どのような方法で、明晰夢を見ている最中であることを実験者に伝えるのか?

最初の論文に述べられているような「眼球信号」を利用しています。

レム睡眠中は筋肉は弛緩していますが、眼球は動かすことができるからです。

 

睡眠前にあらかじめ実験者は参加者に眼球による答え方を知らせ、事前トレーニングを実施します。

睡眠後、参加者はまず、明晰夢を体験していることを示すために、眼球を左右に動かします(あらかじめ実験者から指示されている)。

これにより、実験者は、参加者が夢見状態にあることを確認し、質問を投げかけました。

例えば、「8マイナス6」という音声刺激を2回与えられた19歳のアメリカ人は、2回とも、正解「2」を眼球信号で出したようです。

また、35歳のドイツ人には、赤と緑のLEDライトの点滅でモールス符号として「4マイナス0」を伝え、「4プラス0」と理解したようですが、「4」と答えたようです。

「4プラス0」と理解したのは、覚醒後の夢の報告によりわかりました。

眼球信号による回答方法は、あらかじめ試験者から参加者に示されており(事前トレーニングも実施)、「2」の場合の眼球信号は「LRLR」、「4」の場合は「LRLRLRLR」でした。

眼球信号の確認方法は、眼電位図(EOG)により実験者が確認しています。

ここで重要なのは、睡眠中にコミュニケーションが行われたとき、「参加者はどの程度眠っていたのか?」です。

 

ここでは、睡眠生理学を評価するための「睡眠研究における標準的な基準」による方法をとっています。

また、標準的な基準でレム睡眠中であることを確認するため、3人の睡眠専門家による睡眠ポリグラフデータの評価を実施しています。

 

この結果の注目すべき点としては、参加者が「どのように返答すればよいか」という睡眠前の指示を記憶し、睡眠中に外部から提示された質問に適用できたということです。

つまり、参加者は、睡眠中にワーキングメモリーを操作して計算を行い、覚醒時に得たエピソード記憶にアクセスして回答したということです。