本日発売のマガジンハウスの雑誌「クロワッサン」で、
書評を書かせていただきました!
『〈美しい本〉の文化誌 装幀百十年の系譜』
臼田捷治
(Book&Design)
(画像にはボカシが入っています。すみません)
私は装幀というものが大好きなんですが、
そういう人には、この本、とてもオススメです!
装幀に対する考え方が時代の流れとともにどう変化していったかが書いてあって、装幀家や作家の言葉も引用してあって、とても興味深いです!
「うつくしい本を出すのはうれしい。
高くて売れなくてもいいから立派にしろと云ってやった」
夏目漱石
かねがね、谷崎潤一郎の自装本は別格だと思っていて、特に本文組みが美しいと思っていましたが、その理由もわかりました。
また、谷崎潤一郎が、ちゃんとそれを意識してやっていたこともわかりました。
知らなかったことがたくさんで、なかなか高い本ですが、それに見合った、充実した内容です。
余談ですが、私が装幀に興味を持ったきっかけは、ある大好きな作家の新刊本を読んだときに、いつもほど感動しなかったんです。
内容的には今までくらい素晴らしいのに、なぜだろう、こっちの感性が弱っているのかな、とか不思議に思っていて、
はたと気づいたのが、活字のちがいでした!
いつもとはちがう出版社から出ていたので、活字が今までとちがっていたんです。
それだけのことで、感動が大きくちがいました。なんて、おそろしいことなんだと思いました。
それと同じようなことを谷崎潤一郎も言っていて、この本の中で引用されています。
最近、『食べることと出すこと』の書評をいろんな方に書いていただいて、とてもありがたく嬉しく思っていたので、
自分が書評を書く側になると、「喜んでもらえるものを書かなければ」と身構えてしまって、ものすごく書きにくかったです。
やはり、両方の立場に立ってみないとわからないことがあるなと思いました。