「潰瘍性大腸炎はこういう病気だ!」という間違った偏見情報にご注意ください! | 「絶望名人カフカ」頭木ブログ

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『絶望名人カフカの人生論』『絶望読書』『絶望図書館』、NHK『絶望名言』などの頭木弘樹(かしらぎ・ひろき)です。
文学紹介者です(文学を論じるのではなく、ただご紹介していきたいと思っています)。
本、映画、音楽、落語、昔話などについて書いていきます。

首相が、持病の潰瘍性大腸炎を理由に、辞任するというニュースが流れました。

ああ、これでまた、潰瘍性大腸炎が話題になり、あることないこと書かれるなあと思ったのですが、

予想通り、ひどいことになってしまっています……。

同じ病気の者にとっては、困ってしまいます。

大阪万博のマークまで、潰瘍性大腸炎とか言われてるんですね…。

 

罵詈雑言はまだしも、「潰瘍性大腸炎はこういう病気だ!」という間違った偏見情報は、本当に困ります……。

医師と名乗っている人の中にも、ありえないこと書いている人がいるんですが、あれはいったいどういうことなんでしょう?

 

首相を非難するにしても、かばうにしても、病気をその道具に使わないでほしいと思います。

前回の辞任騒動でも、潰瘍性大腸炎に関する大変な偏見がずっと残ってしまい、大変な迷惑でしたが、今回はさらにだめ押しになりそうです……。

 

潰瘍性大腸炎 と診断されたばかりの方々。そして、そのご家族や周囲の方々へ。

潰瘍性大腸炎に関する情報がたくさん流れると思いますが、政治がからむと、病気の情報にもさまざまなバイアスがかかり、事実ではなこともたくさん書かれます。

鵜呑みにしてショックを受けないようにお気をつけください。

 

自分の病気について、全国的にみんながわいわい語り出すというのは、なかなかすごい体験で、筒井康隆の『おれに関する噂』みたいな感さえあります。

この病気になったばかりで、難病になったショックで、ただでさえ心が過負荷になっている人には、耐えがたいことでしょう……。

 

病気への偏見なんか無視すればいいという人がいますが、そうもいかないんです。

病気に偏見を持たれるというのは、どういうことかというと、仕事を失ったり、結婚を反対されたり、人間性を疑われたりとか、そういうことです。

当事者にとっては、無視すればすむ問題ではないんです。

 

新刊の『食べることと出すこと』(医学書院)は、

「潰瘍性大腸炎について正しい知識を持ってもらおう」という目的で書いたわけではなく、

病気を通して発見した、いろんなことを楽しく読んでもらおうと思ったものです。

でもこうなったら、偏見をなくすためにも、ぜひお読みいただきたいです!

 

 

食べることと出すこと (シリーズ ケアをひらく)

 

https://hanmoto.com/bd/isbn/9784260042888