首相が、持病の潰瘍性大腸炎を理由に、辞任するというニュースが流れました。
ああ、これでまた、潰瘍性大腸炎が話題になり、あることないこと書かれるなあと思ったのですが、
予想通り、ひどいことになってしまっています……。
同じ病気の者にとっては、困ってしまいます。
大阪万博のマークまで、潰瘍性大腸炎とか言われてるんですね…。
罵詈雑言はまだしも、「潰瘍性大腸炎はこういう病気だ!」という間違った偏見情報は、本当に困ります……。
医師と名乗っている人の中にも、ありえないこと書いている人がいるんですが、あれはいったいどういうことなんでしょう?
首相を非難するにしても、かばうにしても、病気をその道具に使わないでほしいと思います。
前回の辞任騒動でも、潰瘍性大腸炎に関する大変な偏見がずっと残ってしまい、大変な迷惑でしたが、今回はさらにだめ押しになりそうです……。
潰瘍性大腸炎 と診断されたばかりの方々。そして、そのご家族や周囲の方々へ。
潰瘍性大腸炎に関する情報がたくさん流れると思いますが、政治がからむと、病気の情報にもさまざまなバイアスがかかり、事実ではなこともたくさん書かれます。
鵜呑みにしてショックを受けないようにお気をつけください。
自分の病気について、全国的にみんながわいわい語り出すというのは、なかなかすごい体験で、筒井康隆の『おれに関する噂』みたいな感さえあります。
この病気になったばかりで、難病になったショックで、ただでさえ心が過負荷になっている人には、耐えがたいことでしょう……。
病気への偏見なんか無視すればいいという人がいますが、そうもいかないんです。
病気に偏見を持たれるというのは、どういうことかというと、仕事を失ったり、結婚を反対されたり、人間性を疑われたりとか、そういうことです。
当事者にとっては、無視すればすむ問題ではないんです。
新刊の『食べることと出すこと』(医学書院)は、
「潰瘍性大腸炎について正しい知識を持ってもらおう」という目的で書いたわけではなく、
病気を通して発見した、いろんなことを楽しく読んでもらおうと思ったものです。
でもこうなったら、偏見をなくすためにも、ぜひお読みいただきたいです!