カフカの言葉・月刊「みすず」8月号の連載のエピグラフの全文紹介です | 「絶望名人カフカ」頭木ブログ

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『絶望名人カフカの人生論』『絶望読書』『絶望図書館』、NHK『絶望名言』などの頭木弘樹(かしらぎ・ひろき)です。
文学紹介者です(文学を論じるのではなく、ただご紹介していきたいと思っています)。
本、映画、音楽、落語、昔話などについて書いていきます。

月刊「みすず」8月号(8月4日発売)から、

 「咬んだり刺したりするカフカの『変身』」

という連載が始まりました! 

 

 

その巻頭に、このようにカフカの言葉を引用しました。

 

 

このカフカの言葉は、

じつはもっと長いものの一部なので、

その全体をご紹介しておきます。

 

 ぼくは思うんだが、

 ぼくらはそもそも、

 自分を咬んだり刺したりする本だけを読むべきではないだろうか。

 

 ぼくらが読んでいる本が、

 頭をガツンと一撃して、ぼくらを目覚めさせてくれないなら、

 いったい何のために、ぼくらは本を読むのか?

 

 君の書いているように、

 幸福になるためか?

 いやはや、

 本なんかなくても、

 ぼくたちは幸福になれるだろう。

 それに、

 幸福になるための本なら、

 いざとなれば、ぼくたち自身でも書ける。

 

 いいかい、必要な本とは、

 苦しくてつらい不幸のように、

 誰よりも愛している人の死のように、

 すべての人から引き離されて森に追放されたように、

 自殺のように、

 ぼくらに作用する本のことだ。

 

 本とは、

 ぼくらの内の氷結した海を砕く

 斧でなければならない。

 ぼくはそう思う。

 

1904年1月27日(20歳)オスカー・ポラックへの手紙

 

 

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この連載に関しては、

より楽しんでいただけるよう、

今後もこうしてブログで補足をしていこうと思っています。

 

 

……

 

 

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