収録作品のご紹介(1)新刊『絶望書店 夢をあきらめた9人が出会った物語』河出書房新社 | 「絶望名人カフカ」頭木ブログ

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文学紹介者です(文学を論じるのではなく、ただご紹介していきたいと思っています)。
本、映画、音楽、落語、昔話などについて書いていきます。

新刊『絶望書店 夢をあきらめた9人が出会った物語』河出書房新社

https://amzn.to/2SYJ50J

https://www.hanmoto.com/bd/isbn/978430902766

 

収録作品をひとつずつご紹介していこうかと思っています。

 

まずは、山田太一 のエッセイ「断念するということ」。

 

これはじつは、山田太一が選者の『生きるかなしみ』(ちくま文庫)というアンソロジーの序文です。

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他のアンソロジーの巻頭の選者の序文を、自分のアンソロジーの巻頭に収録したわけです。

むちゃくちゃです。山田先生に収録をお願いしたときにも、「えっ!」と驚かれました。

 

そんなむちゃをしてでも、どうしても載せたかったほど、私はこの文章が好きです。

「夢を追いかけることは素敵!」「夢をあきらめないことは素晴らしい!」という正論に対して、「本当にそう言い切ってしまっていいのか?」と首をかしげる気持ちはあっても、どう言葉にしていいかわかりませんでした。

 

それをこの文章は見事に、すばり書いてくれています!

もやもやしていた気持ちがすごくすっきりしましたし、現実が少しちがって見えてくるようになりました。

少しでも多くの方に読んでみていただきたいです。

とくに、夢をあきらめたことが心の傷になっている方には…。

 

ちなみに、クリップでとめた紙みたいになっているのは、前フリの文章で、書店さんのPOPをマネしたつもりです。「絶望書店」なので。