『落語を聴いてみたけど面白くなかった人へ』を連載させていただいている
月刊『望星』(発行・東海教育研究所 発売・東海大学出版部)の4月号が発売になっています!
http://www.tokaiedu.co.jp/bosei/
よろしかったら、ぜひお読みください。
今回が最終回です。3年間も連載させていただきました。3年と言えば、中学や高校に入って卒業するまでの期間です。大変な長さだと思います。その間、好きなように書かせてもらったのですから、『望星』編集部への感謝の気持ちは、言葉に尽くせません。
落語について書いてみたいという思いはずいぶん以前からあって、桂米朝さんにも一度だけ会っていただいて、意見を聞いていただき、助言もいただきました。「本になったら読んでいただけますか?」とおうかがいしたら、「もちろんです」とおっしゃってくださったのに、まるで間に合いませんでした…。
明治時代、落語の影響によって、言文一致体という革命が文学に起きました。私は、口承文学はまだまだ汲めども尽きぬ源泉であって、その影響によって、第二の革命(文字の文学の)が起きてもおかしくないと思っています。それは落語という語り芸が現役で息づいている日本で起きるかもしれません。
ちなみに、カフカの前衛性というのは、口承文学からきていると、私は思っています。文学の進歩も、木と同じで、今の枝の先端がさらに伸びるのには限界があり、その下の幹のところから、今までの枝よりさらに上まで伸びる枝が新たに生えるのだと思います。そして、今、注目すべき幹は、口承文学だと。
この連載は、今までの長い間の思いが詰まっているので、かなり濃いものになりましたが、いつかまた機会があったら、いろんな噺やいろんな噺家さんについて、もっと気軽にも語ってみたいと思っています。そんな機会があるかどうかはわかりませんが。
36回の連載で、いつもタイトルと、挿絵を描いてくだった、松田恵美さん(@kimonobancho)にも、心から感謝しています。彼女の『きもの番長』の本も素敵なので、ぜひどうぞ!