『落語を聴いてみたけど面白くなかった人へ』連載中の月刊『望星』8月号が発売に! | 「絶望名人カフカ」頭木ブログ

「絶望名人カフカ」頭木ブログ

『絶望名人カフカの人生論』『絶望読書』『絶望図書館』、NHK『絶望名言』などの頭木弘樹(かしらぎ・ひろき)です。
文学紹介者です(文学を論じるのではなく、ただご紹介していきたいと思っています)。
本、映画、音楽、落語、昔話などについて書いていきます。

『落語を聴いてみたけど面白くなかった人へ』を連載させていただいている、

月刊『望星』(発行・東海教育研究所 発売・東海大学出版部)の8月号が発売になっています!

 

 

 

 

http://www.tokaiedu.co.jp/bosei/

 

よろしかったら、ぜひ。

 

これまで、世界の遠い地域から口伝えでやってきた物語が、日本で落語になって現在も語り芸として生き続けているという話をしてきましたが、遠くからやってくる間に、話が変わってくる場合があります。この「類話の変化」こそ、語られる物語の醍醐味です!文字で書かれたものは変化しないですから。

 

その土地土地で、話は変化していきます。国レベルで変わるのはもちろん、同じ日本でも、県がちがえばちがってきますし、村でちがってくることも。日本中にある昔話の類話を比較すると、そのちがいによって県民性がわかるくらいです。この変化が大変に面白いので、今回はそれについてご紹介しています。

 

例にあげたのは江戸落語の『三方一両損』。江戸っ子堅気の登場人物ばかりが出てくる、生粋の江戸の噺。でも、じつはもとはインドのお話で、世界中に類話があります。そして、日本ではまず上方に入ってきました。これも意外ですが。そこから、江戸に移ったときに、とても面白い変化の仕方をしました!

 

落語はもちろん、物語に興味のある人には、ぜひ読んでみていただきたいです。文字で書いた文学には、オリジナルという揺るがしがたいものがありますが、口承文学は変化していってこそ「生きて」いるものです。その面白さは、書かれた文学ばかり読んでいる現在、とても新鮮なものではないかと思います。