熱を出して、ずっと寝込んでおりました……。 | 「絶望名人カフカ」頭木ブログ

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『絶望名人カフカの人生論』『絶望読書』『絶望図書館』、NHK『絶望名言』などの頭木弘樹(かしらぎ・ひろき)です。
文学紹介者です(文学を論じるのではなく、ただご紹介していきたいと思っています)。
本、映画、音楽、落語、昔話などについて書いていきます。

熱を出して、ずっと寝込んでおりました……。
7月6日からだから、ちょうど10日間。長かった……。
最初が8度7分で、翌日は9度2分、その後も8度後半がずっと出て……。
5日目くらいに、まだ熱が下がらないので、「これはどうなるんだろう?」と不安になってきました。
ようやく下がってきて、ほっとしております。

東京での検査後、ダメージがあったため、
持病の薬を一時的に増やしていて、
その薬は副作用として、免疫力を低下させるため、
感染症になりやすくなるのですが、
まさになってしまいました。
東京ではよく気をつけていたのですが、
宮古島に戻って、ちょっと油断してしまいました。

今回の感染症は私も初めてのパターンで、口の中が大変なことに。一面の口内炎で、口を開くと、中はプラネタリウムのようです。
歯科口腔外科に行ったら、「これは凄い!」と写真をバシバシ撮られました。どこかの医学雑誌に私の口中の写真が載るかも。

何を食べてもしみて痛く、ついには水を飲んでも、ヒーッと悲鳴が出るようになり、このまま何も食べられなくなるのではと、それも不安になっていました。そういう場合は、麻酔をして、そのすきに食べるのだとか……。

今はまだかろうじて、赤ちゃんの離乳食のようなものを食べています。それでもしみて痛く、どうしても涙が流れてきます。毎回、泣きながらの食事です。「食べ物を口に入れても痛くない」という幸せもあることを知ってしまいました……。

こんなときでも、唯一、平気で口に入れられるものがあります。それが生理食塩水です!これほんとびっくりするほど無痛です。塩がしみたりもしません。感動します。今、私が最も好きなものは生理食塩水です。これでひたすらうがい。

今後、「好きな飲み物」を聞かれたら、どうしても生理食塩水が頭に浮かぶことでしょう。そんなことを言えば、ヘンな人と思われるでしょうが。「おいしくない」より「痛い」ほうがつらいように、「おいしい」より「痛くない」のほうが上です。

今、すべての食品は、「痛いか/痛くないか」に私の中に分類されつつあります。早く、「おいしいか/おいしくないか」の世界に戻りたいです……。
とはいえ、生理食塩水への礼賛は、きっと生涯、続くことでしょう。

しかし、病気の途中って、ほんと我慢の限界に達するときがある。もういやだと腹が立って、泣けて、投げ出したくなる。仕事とかだったら、上司をぶん殴ってやめるレベルの、いやになり方だと思う。すべてを捨てて蒸発するレベルかも。でも、投げ出しようがない。この折り合いのつけ方はいまだ難しい……

寝込んでいる間、今回も朗読を聴いていた。先の見えない不安の中にいるときには、物語には本当に救われる。『絶望読書』に書いたことをまたしても実践してしまったけれど、本の他に、朗読も用意しておくといいと思います。熱があったりすると、本は読めないから。