美空ひばりが19歳から21歳までの青春期に出演した
ラジオ番組や実況録音を収めた、
初CD化音源を含む貴重音源集
『美空ひばり 青春アワー ~TBSヴィンテージ Jクラシックス~』が、
1月27日に発売されました。
http://www.barks.jp/news/?id=1000123526
この中には、
1958年当時のTBSラジオの人気番組『美空ひばりアワー』
も収録されていて、
その第15回のオープニングは、
なんと、美空ひばりによるカフカ『変身』の朗読!
美空ひばりとカフカという組み合わせは、なんとも意外です。
今日、CDが届いて、早速聴いてみました。
まずはアナウンサーによる、番組のナレーション。
一部をご紹介すると、
「ひばりちゃんは皆様の親しいお友達です。
富士電機もあらゆる電気製品で、皆様の親しいお友達です。
では、ひばりちゃんが、美しい調べに乗せてお届けする、
思い出は歌とともに。
早速、思い出のページをひもといてみることにしましょう」
なんとものどかで、微笑ましいです。
ところが一転、
パイプオルガンの荘厳な響きが流れ出し、
カフカの『変身』の朗読が始まります。
一部の朗読かと思ったら、
『変身』の全編をコンパクトにまとめた、
朗読劇でした。
うまく短くまとめてあるのですが、
物語の残酷な面がかなり強調してあります。
たとえば、
息子のグレゴールが虫になるわけですが、
家族が「彼の存在を呪い、死を願った」とか、
「グレゴールの死を知った父は、『これで神様に感謝できる、ありがたいことだ』と喜んだ」とか。
「幸福は再び、彼らの上に訪れ」とか。
よくまあ、これを番組のオープニングに持ってきたものだと驚きました。
美空ひばりさんが、京都へ行く汽車の中で『変身』を読んで、感銘を受けたのだそうです。
朗読の後で、美空ひばりさんのコメントが入っているのですが、
その中に、こういう言葉がありました。
「かつて塩酸事件に遭った私には、何かと考えさせられるのです」
美空ひばりさんも、そういう経験があって、
それで『変身』に感銘を受けたんですね。
私は「塩酸事件」というのを知らなかったのですが、
検索したらすぐに出てきました。
http://yabusaka.moo.jp/hibari.htm
しかし、
あの、のどかな
「思い出のページをひもといてみることにしましょう」
でひもとかれるのが、この事件の思い出とは、驚きました。
このCDには、他にヘッセの詩の朗読もありますし、
いろいろと面白いので、
オススメです!
私にとっては、初の美空ひばりでした。