新潮文庫『絶望名人カフカの人生論』のPOPが、新潮文庫にしかできない大胆さ! | 「絶望名人カフカ」頭木ブログ

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『絶望名人カフカの人生論』『絶望読書』『絶望図書館』、NHK『絶望名言』などの頭木弘樹(かしらぎ・ひろき)です。
文学紹介者です(文学を論じるのではなく、ただご紹介していきたいと思っています)。
本、映画、音楽、落語、昔話などについて書いていきます。

『絶望名人カフカの人生論』(新潮文庫)の発売にともなって、
新潮社のほうで、
POPを作ってくださいました。

その画像が届いたのですが、
驚きました!





たしかに、カフカはこういうことを言っていますし、
この本の中でも引用しているのですが、
まさかこの言葉をPOPに選択されるとは!

新潮文庫の『変身』といえば、
もう100刷を越えていて、
たくさんの人たちに長く読み継がれています。
私もそうでしたが、
まず最初のカフカの本としては、
新潮文庫の『変身』を手にとる人が多いのではないでしょうか。

その大切な『変身』をけなすかのような言葉をPOPを採用されるとは!

私からはとても提案できませんし、
『変身』を出している新潮社だからこそできる、
とんでもなく大胆なPOPだと思います。

『変身』と、このPOPが近くに並ぶこともありうるわけで、
新潮社の方の挑戦的で冒険的なアイディアには脱帽です。

なお、カフカは自分の作品をとにかく徹底的にけなす人なので、
この言葉は本気にしないでくださいね。
『変身』は大名作です。
けなせるのはカフカだけです。

ノーベル文学賞作家のカネッティは『変身』についてこう言っています。
「彼(カフカ)は、もはや断じて追い越すことのできないものを書いた。
 ……この世紀の数少ない偉大な、完成した作品を彼は書いたのである」


……

Twitterでやりとりさせていただいている方が、
POPが書店に置かれているところを、
撮影してくださいました。
なんともありがたいことです!

https://twitter.com/poncho_noramot/status/529621491378184192