単純に、ゲーテとカフカが対話をしたら、面白いのではないかという思いもありました。
ゲーテには『ゲーテとの対話』という本があります。(対話相手は秘書のエッカーマン)
カフカにも『カフカとの対話』という本があります。(対話相手は青年ヤノーホ)
どちらもとても素晴らしい本で、
「対話の本」と言えば、このどちらか、あるいは両方をあげる人が多いでしょう。
では、この二人が対話をしたら、どうなるのか?
ゲーテは名言の多い人です。
「ゲーテはすべてのことを言った」という冗談があるくらいです。
カフカは冗談ではなく本気でこう言っています。
「ゲーテはわれわれ人間に関するほとんどすべてを語っています」
そのカフカもまた名言の多い人です。
二人の名言を、あたかも二人が対話しているかのように、並べてみました。
解説では、二人のエピソードをできるだけたくさん紹介するようにしました。
ゲーテとカフカは、その言葉や作品と、その人生がぴったり一致しています。
その点でも驚くほどよく似た二人です。
二人の言葉は、たんなる机上のものではなく、彼らの人生そのものです。
ゲーテの希望の名言と、カフカの絶望の名言。
どちらの言葉のほうが心に響いてくるかは、そのときの状態によってちがうでしょう。
ゲーテは一方の端であり、カフカはもう一方の端です。
私たちの多くは、その間に位置しているのではないでしょうか。
そして、その間を揺れ動いているのではないでしょうか。
ともかく、理屈抜きに、
カフカもゲーテも、面白いです!
なんとも魅力的な人たちです!
二人並べると、さらに面白いです!
ぜひ、そんなふたりの言葉を楽しんでください。
ときには笑い、ときには共感し、ときには泣けてくることもあるかもしれません。
そのときどきの気持ちと共に味わっていただければ幸いです。
ゲーテにこんな詩があります。
よく生きようと思えば、
自分だけで悩まずに、
名人と心をひとつにしてみよう。
名人とともに迷うことで、
得るものは大きい。
「名人にしたがってみよう」ではなく、
「名人とともに迷う」というところが、
とてもいいなあと思います。
名人もまた迷います。
でも、いっしょに迷ってくれる名人の存在は、
とても大きなものだと思います。
希望名人ゲーテと絶望名人カフカの対話/飛鳥新社

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