安部公房のお母さんの書いた小説『スフィンクスは笑う』が出版されます! | 「絶望名人カフカ」頭木ブログ

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Twitterで、BaddieBeagleさんのツイートで知って、ビックリしました。

スフィンクスは笑う  講談社文芸文庫

安部公房の実母が書いた幻の傑作長篇小説!大正12年、公房がヨリミの胎内に宿り、誕生を待つ、まさにその時書き上げられた作品。愛とは、貞操とは何かを追究し、今なお色あせることのない至高の恋愛小説

この本については、安部公房の娘のねりさんが、
『安部公房伝』(新潮社)に次のように書いておられます。

「『スフィンクスは笑ふ』は五人の男女の愛憎を描いた恋愛小説で始まるが、
 途中で主人公が替わる。
 後半、女性は妊娠し、子供の父親ではない実直な男と結婚する。
 しかし、子供が生まれたとたん夫は豹変し、
 生まれた子供を壁に投げつけ、妻を引きずりまわす怖ろしい暴力を振るう。
 主人公は『敗残した』自分を受け入れ、生きていくことを決意する」

うーん。すごそうです。
個人的には、
「途中で主人公が替わる」というところに、
とても興味を引かれます。

講談社文芸文庫で出るということは、
安部公房の母親の本だからということだけでなく、
文学的な価値を認められてのことなのでしょう。