今まででいちばん暗い気分になった映画 | 「絶望名人カフカ」頭木ブログ

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文学紹介者です(文学を論じるのではなく、ただご紹介していきたいと思っています)。
本、映画、音楽、落語、昔話などについて書いていきます。

今まででいちばん暗い気分になった映画は何だろうと考えると、
それはこれです。

田舎司祭の日記 [DVD]/レオンス・アンリ・ビュレル,ジャン・リヴェール,ジャン=ジャック・グレネンワルト

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監督はロベール・ブレッソン。
私は、この監督が大好きで、
他の作品もかなり観ています。

他の作品も、絶望的なものが多いのですが、
「なんて素晴らしい!」という感動や興奮も覚えるので、
落ち込んで仕方ないということはありません。

ところが、これはどうしてなんでしょう、
本当に落ち込みました。
映画を観て、こんなに落ち込んだことはありません。
正直、もう1回観る勇気がないです。

ストーリーだけならそれほどでもないのでしょうが、
そこにこの監督の恐るべき力が加わっているので、
たまったものではありません。

カフカの絶望は、突き抜けていて、
かえって力がわいてきます。

それとのちがいは何なのでしょう?

ともかくも、何かがある映画です。