今回の『絶望名人カフカの人生論』という本を出すにあたって、
「絶望」という言葉をタイトルに入れることは、
強い反撥を招くのではないかと、
じつは心配していました。
反撥どころか、
「今のような時期に、なんて不謹慎な!」
と怒られるのではないかと思っていました。
なかなか趣旨を理解してはもらえないだろうと。
取材のときも、その説明が大変だろうと思っていました。
ところが、説明する前から、もう理解していただけていました。
取材だけでなく、
Twitterなどで反響を見ていても、
みなさん、最初から趣旨をすんなりと理解してくださっています。
昨日と今日のブログでご紹介したように、
東北地方の新聞でも好意的に取り上げていただきました。
これは本当に意外でした。
拍子抜けしたくらいです。
私自身は、自分の絶望体験から、
本当に辛いときには、
こういう本があったほうがいい、
ということに確信がありましたが、
それを多くの方に理解していただくのは、
難しいだろうと思っていました。
「だったら、なぜ『絶望』という言葉をタイトルに入れたんだ?」
という話ですが、
それはやっぱり、絶望している方に手にとっていただきたかったからです。
あるいは、ポジティブな言葉ばかりで、あっぷあっぷになっている方に、
思い切りネガティブな本だということを、わかりやすく伝えたかったからです。
もちろん、中には次のような反響もありました。
「「絶望名人 カフカの人生論」という本.......。
なんかこれ読むの辛そう.... 。
絶望した時に、絶望の名言集なんて読んでなにか得られるのか?」
これは、とっても、もっともなご意見だと思います。
むしろ、こういう意見が圧倒的だろうと思っていたくらいで。
ただ、読んで何になるのか、説明は難しいです。
でも、読んでいただければ、きっとわかっていただけるはずです。
一方で、
これから入院するという方から、
「病院に本を持って行く」
というメールもいただきました。
これは本当に嬉しかったです。
私もまさに入院中にカフカに支えられたわけで、
昔の自分のような人に届いた気がしました。
「「絶望名人カフカの人生論」ネガティブ過ぎでウケるんだが…
筆者の意図は笑いじゃないな、と思い…」
というご意見もありました。
深刻に読むべき本なのではないかと。
でも、そんなことはありません。
カフカの絶望はあまりにもネガティブすぎて、思わず笑ってしまいます。
でも、その笑いはカフカを決して嘲笑しているわけではなく、
笑った後は、きっとカフカを少し好きになっているのではないでしょうか。