自分より5歳年上のヴァルザーという作家に、
強い影響を受けています。
これはカフカ好きな人には、
わりと知られていることです。
たとえば、
ヴァルザーの「喝采」という小品と、
カフカの「天井桟敷で」という小品を比べると、
似ているところとちがっているところが、
とても面白いです。
でも、ヴァルザーの本は、
日本ではあまり出ていませんでした。
ヴァルザーの小さな世界 (筑摩叢書)/ローベルト ヴァルザー

¥1,998
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これが出たときには、
画期的だと喝采したものです。
でも、もうそれも絶版になって久しいです。
ところが!
予想もしなかったことに、
『ローベルト・ヴァルザー作品集』の刊行が始まりました!
奇跡的だと思います。
ローベルト・ヴァルザー作品集 1 タンナー兄弟姉妹/ローベルト・ヴァルザー

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ローベルト・ヴァルザー作品集〈2〉助手/ローベルト ヴァルザー

¥2,730
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現在、この2冊が出ています。
この後、さらに5巻まで刊行される予定です。
鳥影社という、長野県の出版社さんのようですが、
いやー、すごい!
これはいまのうちに買っておかないと、
あとで探すと、苦労する上に、
かえってすごく高くつく本だと思います。
過去の私のさまざまな経験から。
なお、次のような本も出ています。
ヴァルザーの詩と小品 (大人の本棚)/ローベルト・ヴァルザー

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ヴァルザーは生前、高く評価されていたとは言えず、
晩年は精神病院に20年以上も入院していて、
散歩中に雪腹で心臓発作で亡くなりました。
米粒大の判読不可能な文字で原稿を書いていたそうです。
正当な評価を受けていなかったヴァルザーに、
正当な評価を受けていなかったカフカが
影響を受けたわけです。
なお、ヴァルザーのほうは、
カフカの作品をほとんど知りませんでした。
最後に、
ヴァルザーの言葉をちょっとだけ。
「奇妙な振る舞い……人はときに奇妙な振る舞いをしてしまう。
人はこの奇妙な振る舞いとともに生きていく勇気を持たなければならない。
そうすれば、なんとかやっていけるものだ。
人は自分が多少変だからといって、不安がるには及ばない」