『絶望名人カフカの人生論』のまえがきの出だしです | 「絶望名人カフカ」頭木ブログ

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『絶望名人カフカの人生論』『絶望読書』『絶望図書館』、NHK『絶望名言』などの頭木弘樹(かしらぎ・ひろき)です。
文学紹介者です(文学を論じるのではなく、ただご紹介していきたいと思っています)。
本、映画、音楽、落語、昔話などについて書いていきます。

『絶望名人カフカの人生論』のまえがきの出だしを
引用させていただきます。

……

はじめに カフカの肖像──いかに絶望し、いかに生きたか

●心がつらいとき、本当に必要な言葉は?

 世の中には、たくさんの名言集があります。
 その中には、たくさんのポジティブな言葉があふれています。
 たとえば、

(中略)

 でも、本当に心がつらいとき、こういう言葉がはたして心まで届くでしょうか?
 ただただ、まぶしすぎることもあるのではないでしょうか。
 病気になったときに、健康そのものの人から、「大丈夫。治ると思っていれば治るよ」と励まされるように。

 よく言われる「死ぬ気になれば、なんでもできる」という励ましにしても、心を消耗して、電池切れのような状態で、死を考えている人にとっては、「なにもできなくなったからこそ、死ぬ気になったんだ」と言い返したくなるかもしれません。

 心がつらいとき、まず必要なのは、その気持ちによりそってくれる言葉ではないでしょうか。
 自分のつらい気持ちをよく理解してくれて、いっしょに泣いてくれる人ではないでしょうか。

……

この病気のたとえは、
じつは、私自身の実体験に基づくものです。
それについて、これから少し書かせていただこうと思っています。