意外! 校長先生が勧めてくださっていました! | 「絶望名人カフカ」頭木ブログ

「絶望名人カフカ」頭木ブログ

『絶望名人カフカの人生論』『絶望読書』『絶望図書館』、NHK『絶望名言』などの頭木弘樹(かしらぎ・ひろき)です。
文学紹介者です(文学を論じるのではなく、ただご紹介していきたいと思っています)。
本、映画、音楽、落語、昔話などについて書いていきます。

高校の校長先生が、
『絶望名人カフカの人生論』を勧めてくださっていました!

2011年10月28日発行「よぶこえ」(校長だより)第558号

驚きました。
基本的に先生は勧めない本だと思うので。

もちろん、私としては勧めていただける本だと思っています。
でも、「絶望の名言集」を、校長先生が生徒に勧めるというのは、
誤解を招きそうですし、
やりにくいことではないかと思います。

それでも勧めてくださったのですから、
ありがたいことです。

しかも、この校長先生の紹介の文の出だしが、
素晴らしいです。
以下に引用させていただきます。

……

内科で入院している時に見舞客が来る。

全身から日向(ひなた)の匂いをプンプンさせて。
もうそれだけでめまいがしそうになる。

見舞客が「それじゃあ」と言って帰る。
まぶしい話題について行けなかった疲れがどっと出て、
ぐったり夜まで寝てしまう。

そういうことってありませんか?

生きていると辛いこともあります。
ものも言えないほど落ち込むことも。

そういうときのための人生論が出ました。

……

この入院の例え話、
あまりにも痛切で、
共感できて、
うるっときそうになりました。

なんと的確で見事な表現でしょう。
この校長先生は入院経験があるのではないでしょうか。
私もあるので、
これはすごくわかります。

辛い経験をされているからこそ、
この本を勧めてくださったのでしょう。
そういう方の目にとまって、
読んでいただけて、
本当によかったと思います。

校長先生は続きの次の号で、
カフカの言葉をいくつか引用されて、
最後に、
こう書いてくださっています。
以下、その引用です。

……

ポジティブなメッセージが溢(あふ)れた世の中にあって、
あまりのネガティブさに笑ってしまいます。
そして、
気づいたら不思議な元気さえ芽吹いています。