- 川端康成集 片腕―文豪怪談傑作選 (ちくま文庫)/川端 康成
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川端康成については、ずっと誤解をしていた。
踊子や温泉芸者といちゃいちゃする小説を書いて、
「美しい日本のわたし」とか言っているだけだと思っていた。
『百年の孤独』のマルケスが川端康成を尊敬していると言っていて、
「あれ?」と思い、
何かの評論で、
川端康成の小説の視点は、主人公の目線からと思ったら、
庭に出たり、へたすると縁の下にあったり、
さまざまに移動する
というようなことが書いてあって、
興味がわいた。
で、『眠れる美女』を読んで、すっかりびっくりしてしまった。
『片腕』を読んで、さらにビックリ!
『みずうみ』『たんぽぽ』と驚かされ続けて、
今や大ファン。
文章は美しいし、破格だし、
なんと前衛的な。
『掌の小説』という
超短編集もすごくいい。
このアンソロジーにも収められている
「心中」なんて、
たしか3ページくらいの作品だと思うが、
すごすぎて、うなってしまう。
このアンソロジーには『片腕』も入っている。
これは怪談集なわけで、
『片腕』を怪談と言ってしまうのは、
カフカの『変身』をホラーに分類するようなものだが、
まあ、川端康成の小説を紹介するための方便で、
あえてやっていることだろう。
いい作品が選ばれていて、
入門書として、ふさわしいと思う。
私も気に入っている1冊。