ヤマト精密艦艇設計図と野村トーイヤマト その2 | 波動砲口形状研究

ヤマト精密艦艇設計図と野村トーイヤマト その2

野村トーイヤマトのノズルはその付け根が楕円形になっている。

これは数あるヤマトの立体物の中でも非常にめずらしいものだ。

 

アニメ用設定図の問題点としてよく指摘されるのが、平面図と側面図でノズルの太さがまるで違うことだ。平面図の方が太く、ノズル全体が楕円形の断面を持たないとおかしい図になっている。

 

噴射口が円なのは疑いようがないので、なんとか整合性を持たせるために、精密艦艇設計図ではノズルの付け根こそ楕円形だが、その先の噴射口で円になるように絞り込むという処置をしている。


これは非常にいい方法だと思う。

 

私の好みとして、ノズルは艦体と滑らかに繋がっていてほしいというのがある。

 

ノズルまわりはいわば船のお尻だ。優美な曲面で構成されているヤマトの艦尾に、いきなりバケツ状の筒がポン付けされているようでは興ざめだ。

 

そういう考えなので、広い横幅を無理にすぼめているため、ノズルのところで面が折り返してしまう復活編のヤマトや、

 

噴射口の大型化でやはり折り返しがきてしまう2202はいまいち好きになれない。

 

2199ヤマトはそのあたりの配慮が感じられ、船体とノズルが滑らかに繋がっている。ノズルも先に行くほどすぼまる有機的なラインで、2199ヤマトは商品化された中ではもっとも私の好みに近いお尻の持ち主だ。

 

 

私としてはこういう、筆の勢いでシルエットを一気になぞれるような尻がよい尻だと思うのだ。


 

精密艦艇設計図のヤマトは、アニメ用設定図と比べるとやたらと前部甲板が広かったり、艦橋の形が独特だったり、結構クセのある解釈をしている。

 

しかしこのノズルまわり関しては、船体との滑らかなつながりが重視されていて、思わず

 

「うんうん、君よく分かってるねえ」

 

と謎の上から目線でつぶやいてしまうのだ。

 

 

残念ながらこのあたりの面処理が野村トーイのヤマトはいまいちで、実はあまり滑らかにつながっていない。



 

しかし、楕円のノズルが製品としてあるのだという事実にはすこし勇気づけられる。



 

実際、ノズルはバケツとか紙コップのように、同心円の断面をもつべきものというポリシーはヤマト立体化界隈では非常に根強い。

 

呉のヤマトミュージアム零にあるカットモデルも、他の部分はほぼ精密艦艇設計図に基づいているのに、ノズル断面形は円にされてしまっているのだ。



おかげでノズルと艦体の一体化感は損なわれている。

 

ノズルは船と一体化した面構成を持つように造形されるべきであり、同心円でそれが実現できないならそれにこだわるべきではない。

 

という個人的ポリシーを裏打ちしてくれている感じなので、精密艦艇設定図や(不完全だが)野村トーイヤマトの存在にもうすこし日が当たればよかったのになあと思ったりする。