以前PICを勉強するために本や情報を探していたとき、やたら目についたのがArduinoだった。
今や電子工作の入門と言えばArduinoらしい。
しかしひとつ3000円もするし、サイズもクレジットカードくらいあって、模型の中に収まりそうにないのでスルーしていた。
最近になって調べなおしてみると、USBスティックくらいの大きさのバージョンもあるし、300円台の安い互換機もあると分かった。
互換品は安すぎで不安なのでひとつだけ授業料として正規品を買って勉強し、組み込みでは互換品を使っていけばいいんじゃないかと思い、買ってみた。
左が正規品。秋月で2780円。右が互換品。amazonで330円。
Arduino自体色々なバージョンがあるが、小さくて安い互換品があるものということになるとArduino Nanoがいまのところ一番具合のいい選択になる。
互換品は微妙につくりが雑なところがあるのと、USBドライバを別で入れなくてはいけないというひと手間があるが、とりあえず問題なく動いている。
そして流石に教材として開発されたとというだけあって、Arduinoは実に扱いやすい。
PICを扱うには、いかにC言語の開発環境と言えども、レジスタを把握して操作する作業からは免れられない。
それはもうじつに非人間的な辛い作業だ。
実はArduinoの中身もAVRというPICと似たようなワンチップマイコンなのだが、レジスタは後ろに隠されていて難しいことをやらない限り直接向き合わなくても良くなっている。おかげでとても楽だ。
また、PICとくらべてネット上の情報が桁違いに多い。何かわからないと思ったときにはググればほぼ確実に答えがある。
もうひとつ魅力的なのが、対応する外付け機器とそれを動かすライブラリが豊富に用意されていること。
私がArduinoに手を染めるほとんど直接の動機になったのがこのDFPlayerと呼ばれるMP3プレーヤーで、値段はamazonで250円くらい。これまた安い。
これはライブラリを読み込めばArduinoから直接命令できるので、「何曲目を、何秒演奏しろ」という操作もすぐにできてしまう。
去年PICで作った波動砲とエンジンの回路をArduinoに置き換える作業をやってみているのだが、PICで2週間かかった作業がArduinoだと2日でできてしまった。
無論、PICでワンチップマイコンについてある程度知っていたから余計にスムースに入れたという面はあるので、こういう比較はフェアではないし、いくらArduinoが便利でもPICはPICで利点も利用のしどころもある。
それでもはやり、情報の多さは魅力だ。PICと同じように「模型電飾のためだけのArduino」を書こうかと一瞬思ったが、そんな必要もないなあと思い直した。すでに膨大な数の初心者向けの日本語ページがあって、今更なにも貢献できることがないのだ。
この安い互換機とMPプレーヤーは中国製なので、いずれ人件費が上がったらこんな値段では入手できなくなるかもしれない。そういう意味で盤石ではないが、勉強する時間的コストと実際の値段の合計で考える時、今一番安価な電飾手段だろう。


