砲口の側面形と歯の問題 | 波動砲口形状研究

砲口の側面形と歯の問題

タイトー復活編の波動砲口を見てみると、

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矢印に示されるように、横から見た時砲口が水平になっている部分がある。

以前、真上/真下方向から見たときの劇中の波動砲の上辺は直線だが、

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フェアリーダーの上辺は曲線なので、

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立体物として違和感なく両者を繋ぐためには工夫が必要になるという話を書いた

その中の工夫の一つが、波動砲の上辺も弧状に貼り出させた曲線にしてしまうというもので、タイトー復活編はそのような処理をしている。

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この弧状に張り出している部分が水平側面方向から見たときに、波動砲口が真横に艦首に切り込んでいる形状を創りだす。

そして、これも以前、波動砲のライフリングの前端(図中で白く塗っている部分)は、少なくとも初代の設定や劇中画を準拠にするなら、砲口のヘリに有るべきで、歯がヘリより引っ込んでいるのはおかしい、とも書いた

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しかしこのタイトー復活編でヘリから歯を生やすと、真横から見たときに歯やその後ろのライフリングの凸部が見えてしまうことになる。
図で大げさに描くとこんなかんじだ。

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横顔を見たら歯が飛び出して見える…波動砲の口元はそんな形状じゃなかったはずだ。

ちなみに復活編の歯は砲口より引っ込んでいる。タイトーのこのモデルでは歯がほとんど省略されているので分からないのだが、おかげで横から歯が見える問題は無いか、相当抑えられているのではないか。

しかしDVD1/700も上辺を僅かとはいえ弧状に張り出させ、しかも歯は砲口のヘリに生えている。

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これを横から見ると…

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確かにわずかだが歯が見えている。
とはいえこの程度ならよほど注意してみなくては気がつかないレベルかも知れない。

私が加工した新1/500波動砲口などは上辺がかなりしっかり前方に張り出す格好になっている。
そして正面から見た上辺も未加工のものだと丸いのだが、それよりも真っ直ぐになっている。

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この加工の結果、真横から見ると歯の先が砲口から見えてしまっている。
(未加工のものは歯先は見えない。)

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歯がヘリよりも引っ込んでいるため見えているのは僅かだが、もしこれで歯が砲口のヘリにあったら、横から見たときに歯やその後ろに続くライフリングの凸がかなりはっきり見えてしまう格好になったはずだ。

今見えている歯の先を素直に砲口のヘリまで引っ張ると下図のようになってしまう。

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つまり初代のイメージにこだわって歯を砲口のヘリに置きたければ、砲口上辺をフェアリーダーの形状に沿うように弧状に張り出させるのはほどほどにしないといけない。

上辺を弧状に張り出させるのをやめ、劇中作図通りの直線にするのも一つの手だが、そこから他の箇所に与えるデザイン上の影響は既に説明したとおりだ。

ところでこの改造新1/500で歯がよく見えてしまうのはもうひとつ要因があって、それは砲口の前傾傾斜が非常に強いということだ。

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砲口が立っていればライフリングの凸部はすぐ隠れて見えなくなる。

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逆に傾斜していればいるほど隠れにくくなる。
ここで前回の、波動砲口の前傾角度を強くすればいいというものではない、という話に繋がってくる。

波動砲口の前傾角度を強くすれば、比較的シャープでスマートな感じにできるのだが、問題はそうするほど横から見たときに歯やライフリングの凸が見えやすくなってしまうということだ。

歯を砲口の奥によりしっかり倒しこむことで、見えにくくすることはできる。実際、真横から見てほとんど見えないようにすることは難しくないだろう。

だが、それをやると、上辺の歯はかなり強く奥に向かって倒れこむことになる。その角度のまま側面や下辺の歯も倒し込むと見た目的に劇中や設定画と齟齬が生じることは想像に難くない。

上辺の歯だけ強く倒しこんで他は程々にするなら、倒れ方の違う歯同士が並んでいても違和感を覚えないよう傾きを徐々に変えながら上手く繋いでいかなくてはいけない。

適切な歯の並びを考えにいれて波動砲口の造形を考えるというのは結構手間になりそうなのだが、ここまで来たらそれもやらざるを得ないだろうか。