1/700 宇宙戦艦ヤマト(再販) ヤマトに見る富士 | 波動砲口形状研究

1/700 宇宙戦艦ヤマト(再販) ヤマトに見る富士

そういう言葉があるかどうかは知らないが、世の中には芯材キットというキットのジャンルがあると思う。
ありとあらゆる所に手を入れられてキットとしては芯材程度にしか機能していないというものだ。

この1/700も多くのネットの作例でそのような扱いをうけている。

それはある程度はやむを得ないことでもある。
そもそもプロポーションが劇中イメージとまるで違う。
多くの劇中画でヤマトのイメージは船底が丸く、断面形が円になるように描かれているのに、このキットでは船底がたいらで、断面が四角っぽくなっている。
また30年近く前のキットだけあってディテールがいい加減なところも多い。

私はこのキットを去年の夏に作った。いじったのは主に艦首波動砲周りだけだが(このことについてはまた項を分けてゆっくり書きたい)作っているうちに私はこのキットを好きになり、不当に低く評価されているのではないかと思うようになった。

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このキットには幾つか非常に素晴らしいところがあり、それは新1/500やDVD1/700をも凌駕する魅力だと思っている。

良い点の第一が、このキットの側面形が設定画に非常に忠実であること。
設定画に忠実であればいいというものでもないが、忠実であればどの様な形になるのか、あるいはならざるを得ないのかを我々に教えてくれる重要な教材になっている。

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上から新1/500、DVD1/700、1/700、設定画

第二が、忠実であるがゆえに船体の上下幅が小さく、第一主砲の前から波動砲までの艦首部分がスマートであること。
艦体前半のスマートさが醸しだす美しさは、新しいキット達と比べてもこの30年も前のキットの方が一日の長(30年の長?)があると思う。
写真で見比べていただきたい。

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上から1/700、DVD1/700、新1/500

これ以降は個人的な話だが、第三が、私が好きな絵に似ていること。
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小学生の時に持っていた下敷きの絵なのだが、これを思い起こさせるバランスを持っている。

第四が、これはもっと個人的な感想なのだが、ヤマトはこの上掲のアングルでみると艦長室を頂点、第一、第三主砲を裾野にした富士山型の輪郭が出来上がる。私の持っているヤマトの中でこの富士山が一番美しいのが1/700なのだ。
もうすこし極端なことを言うと、他の立体物は見ても艦橋と砲塔が見えるだけだが、このヤマトだけは富士山の景色が見える。

他はそうみえず、これだけそのように感じる理由を説明するのは難しいのだが、このヤマトのヤマト坂が緩やかで長く、また胴体の厚みがない分他のキットに比べて第一主砲が下にあり、裾野の線がなめらかに見えることが一因だろうと思う。

日本の象徴的な山がその姿に見えるヤマト。この1/700はもっと見直されていいと思うのだ。