かえるちゃんはお店が好きである。
お洋服屋さんも好きだし、
食べ物屋さんも好きだ。
かえるちゃんは本社に行くときはたいてい虎ノ門駅から西新橋に向かって歩く。
虎ノ門~新橋というのは、
食べもの屋さんがたっくさん、ある。
さすが働く人々の街だけあって、実質的なお店が多い。
歩きながら、かえるちゃんは
「このお店にはいってみたいナー。」 とか
「このお店で食べてみたいナー。」 とか
「このお店はどんな人がやっているのかナー。」 とか
思っている。
でも、一人で初めてのお店にはいるのが苦手なかえるちゃんである。
最近、かえるちゃんの所属する会社では
全体会議のあと、コミュニケーションタイムと言う時間がある。
3~5人が組になって(あみだで組みます)、
会社を出て街へ繰り出して喫茶店(など)で普段会話しない人同士も、
フランクにおしゃべりをする、という時間である。
最初のころは、みんな慣れていなくて
喫茶店で他の組とバッティングしたりしていた。
かえるちゃんは考えた。
日ごろ、「このお店にはいってみたいナー。」と思いつつ
通り過ぎているお店さんたちに、片っ端から入ることが出来る大チャンスではないか。
今日のコミュニケーションタイムでは、
あみだくじがなかなかナイスな人選をたたき出したため、
かえるちゃんは安心して
【日ごろ、「このお店にはいってみたいナー。」
と思いつつ通り過ぎているお店さん】
を提案してみた。
それは 香林坊 さんというお店さん。
看板には 「フォーク喫茶」とある。
フォーク喫茶とはなんぞや。
かえるちゃんは、長いこと疑問に思いつつも一人では初めての場所に入れない性質の為、疑問は解消されないままであった。
本日はその疑問があっさり氷解し、今や かえるちゃんはすっきり爽やかである。
「フォーク喫茶 香林坊」さんは
昔なつかし~いフォークソングがBGMに流れている、優しい気持ちになれる喫茶店なのであった。
店内に貼ってあるポスターも、めーーちゃ若い長淵剛とか、
ちょーーーーぅ可愛い中島みゆき嬢とかである。
そして 注文したウインナコーヒーはべらぼうに美味しかった。
一緒に行ってくれた HちゃんとTちゃんのアイスココアも
顧問のY先生のブレンドも、美味しそうであった。
かえるちゃんたちは「おおむね一時間」 と決められているコミュニケーションタイムを
大幅にオーバーして、語り合ったのであった。
虎ノ門駅から 愛宕下通りをあるいて約5分くらい。
香林坊さんのお隣は これまたレトロな雑貨屋さん。