蛙妖怪壱蛙 -5ページ目

理想の恋人を得る方法

「アタシってさぁ 男運悪いのよね」

「運が悪いっていう程、男が寄ってくるなら、いいんじゃないの?」

「寄ってくるのが、どれもこれもろくでもないのよぉ」

「それでもつき合うんだ?」

「だってぇ。1人じゃ寂しいじゃん?」

「ろくでもない男でも、いて欲しいの?」

「いないよりマシよぉ」

「一緒に居てくれるって、優しいってことじゃないの?」

「あっちも、1人よりマシなんじゃないのぉ?」

「はぁ?」

「あ~あ、知的で金持ちでスマートな紳士な彼氏が欲しい!」

「そういう彼氏をゲットする方法、知ってるよ?」

「え?! 教えて!教えて!」

「知的で金持ちでスマートな女になること」

「何?!それ?!」

「要するに、あんたの理想の相手に、今のあんたは釣り合わないってこと」

「・・・・・。」

矛盾

「好き」と言われたい

「好き」と言わせたい

自分だけに向けた

自分だけのための

「好き」が欲しい


でも

「好き」になりたいわけじゃない

「好き」になれるわけじゃない

「好き」になりたくない


ただ

自分だけに向けた

自分だけのための

「好き」を得られたら

自分の存在が認められたような気がする


だから

「好き」をいくつ得ても満足できない

また次を求め

また次を探し

彷徨い続けてしまう


そんな矛盾が

また誰かに 失恋を経験させてしまう

また誰かが 浮気者と罵られてしまう

kaeruの梅雨

夕立の雨粒は大きくて
地面にボタボタと 低い音を立ててぶつかる


藤色の空に シャキーンと金属的な高い音を立てて
濃い紫や金色の稲光が美しく光る
腹の底に響くような どーんという音が地面を走る


雨は激しくなるにつれて 音を変え
雷鳴は遠くなり 近くなり 空をうごめく


蛙はケロケロと鳴くのをやめて
しっかりと空を見上げ
静かに 雨と雷の競演を楽しむ


蛙の一番好きな季節
蛙の一番好きな時間は
夕立の雲と一緒に あっという間に流れていく