図書館とわたくし | 子宮筋腫をとったらば

子宮筋腫をとったらば

2015年12月に開腹で子宮の全摘をした、45歳・既婚・子ナシの備忘録。

ここ数年で私も夫も実家の整理をしたり、

自分たちが引っ越したりもして。

実感したのはものの処分が大変だということ。

人に歴史ありでそこにものが付随するのは

当然のことなのだけれど、

むやみにものを増やさないようにしよう、

という方向に自然と気持ちは傾きました。

 

この場合のものとは私には主に本。

今まで読みたい本はひとまず所有したい派

だったのだけれど。

結婚してから6回した引っ越しの度に

繰り返される、大長考する本の在庫の

取捨選択のおかげで、今の手持ちの

本たちは相当に私にとって精鋭と言っていい。

この機会にむやみやたらと本を増やすのは

やめようかなと、ぼんやり思っていました。

繰り返し読むのが好きだから、

今ある在庫を2~3周するうちに

寿命が尽きる気がしなくもないし。

とはいえやっぱり未読の本も読みたいわけで。

 

しかも実際に引っ越してみたら。

徒歩圏内に大きな本屋さんが複数あって

一般的な本なら実物とすぐに出会える環境は

当たり前ではなかったことがわかりました。

近所にあるのは雑誌と漫画を扱う

小さな書店が1軒のみ。

個人経営の本屋さんて減りましたね。

店主のお好みがうかがえるあの感じ、

もう味わえないのかしら、さみしい。

 

この「近所に使える本屋がない」という環境が

想像をはるかに超えて辛い、しんどい。

今どきはみなさんネットで本のお買い物も

済ませているのかな。

ネット書店も本の入手に地方格差が出なくて

いいことだとは思っているのですが。

でもやっぱり本棚の間をうろうろするのが

大好きなんだと再認識。

 

えっとじゃあ近所に図書館あるよ?

久しぶりに行ってみる?

若い頃はそれはもうお世話になった図書館。

読みたい本は山ほどあれど、資金は乏しい

女子学生の正義の味方だった図書館。

高校生の時は3年間ずっと図書委員をして

いたくらい、大好きだったところ。

放課後は書架の間の脚立に座って、

周りを本に囲まれて時間いっぱいまで読書。

今でも思い出せる、本と私だけのような

静かで薄暗くて落ち着くあの空間。

大学には学部の大きな図書館とは別に、

学科に小さな図書室があって。

まあそこが個人的な癖に刺さるマニアックな

品揃えで片っ端から読み倒したのも懐かしい。

顔なじみになった司書さんが閉架式だったのに

自由に中に入れてくれたのもありがたかった。

 

学生時代は図書館のお世話になっていたので、

社会人になってからは欲しい本は我慢せずに

購入するのが仁義のような気もしていたけれど。

老い先がそこそこ見えてきたこの状態で、

一度図書館に戻ってみよう。

気に入ったものはちゃんと買いますから、

本たちには許してほしい。

 

徒歩圏内にあるその図書館はこじんまりしていて

利用者さんたちも親子連れや年配のお方が

大半の和やかな雰囲気。

ということは品ぞろえも穏やか、普通。

せっかくだから自分で買うのではしないような

読み方がしたいなと思って棚の間をうろうろ

していたら、見つけた!

買いたいけど全部揃えたら結構なお値段だしと

二の足を踏んでいた個人編集の全集。

日本文学と世界文学の両方があって全60巻。

うむ、これを選り好みしないで読破しましょう。

 

日本文学の方は古事記から現代まで。

選者の好みは出ているけれど、日本文学全体を

俯瞰して比較的客観的に選んだ印象。

古典にそこそこの割合で新訳があるのもいい。

私の読書はめちゃくちゃ偏っているので、

読んだことのないメジャー古典がずらり。

今更感がすごいけど、必修科目として

死ぬ前に読んでおくべきものかも。

そもそも読みたいと思っていたのに

しっくりくる訳がなくておあずけしていた

古事記が画期的な記述方法で1巻目というのが、

とっても幸先がいい感じ。

食わず嫌いしないでとりあえず読んでみる、の

いいきっかけになりそうです。

 

対する世界文学の方はというと。

こちらの方が刊行が先だから

選者の本命はこっちなのかしら?

選択にお好みがはっきりと出ている感じがする。

私たちの世代からするとちょっと懐かしめの

作家が多いような。

それでももちろん未読のものがたくさんあるし、

知っている作家の新訳、初訳もあって楽しみ。

あまりメジャーでない作家が多いので、

それこそ若い頃には高くて買えなくて図書館で

読んだ面々が軒並み揃っている感じ。

読み返したら懐かしくて同窓会みたいになりそう。

 

友人のお手製の丈夫で小さめの

トートバッグを本を運ぶ専任にして、

本当に久しぶりに図書館でカードを作って。

定期的に通えばやっぱり楽しい。

書店ではもうとっくに置いていない、

以前読もうと思って通り過ぎていた本に

ばったり会ったりするのがたまりません。

ちゃんと目的を持って探せば今の時代は

ネット上で簡単に見つかるけれど。

この予期しない不意の出会いが

好きなんだなと思います。

買う気は全然ないのに、

借りてなら読んでもいいかと思う本が

存在することに気づいたのも新発見。

まだまだ知らない自分がいました。

本の森、深くて楽しくて大好き。

 


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