雨の日の散歩 | 子宮筋腫をとったらば

子宮筋腫をとったらば

2015年12月に開腹で子宮の全摘をした、45歳・既婚・子ナシの備忘録。

夫の出社が始まって、日常が戻りつつあります。

テレワークの少し前からお昼ご飯も食べに帰ってくる(←会社が近い)

ようになっていて、その生活スタイルも復活。

加えてこの騒動で残業が目に見えて減り、夜の帰宅も早くなって、

それはいい事だけれど地味に私が動ける時間が短くなりました。

そんな中、とある平日にマンションが断水。

「お昼ご飯いらないよ、外で済ませる」

おお、これは滅多にないチャンスなのでは。

近所で買えないものを仕入れにのんびりお出かけしよう。

「Sくんのところでお昼食べてきたら?」

そうするつもりだったけど、勧めてくれるのは嬉しい、ありがとうよ。

 

そんなわけで小雨の降る木曜日に午前中から家を出て。

時間を気にせず気の向くままにぶらぶらするのが

久しぶりだとなおさら楽しい……はずだったのに。

目的の食材屋さんは飲食店が多い観光地の中にあって、

3月に立ち寄った時よりも営業しているお店は大分増えた印象。

でもお天気のせいか平日だからかお客さんはまばらのような?

通りには呼び込みのお兄さんお姉さんがたくさんいます。

 

私の生活圏内には複数の商業施設とたくさんのオフィス。

自粛要請が出た時には食品を扱う以外のお店がほぼ閉まって、

通勤の人も激減してゴーストタウンのようでした。

それがここ一月ほどで随分通常に近くなった感じがあったのですが。

観光メインのところはまだまだ客足が戻るまでにはなっていない?

当然ながら外国からのお客さんは実質皆無でしょうし。

普段は賑やかな街が人出が少なく寂しいのは辛い景色でした。

 

いつもの食材屋さんもレジ前にビニールシートがかかっていて、

以前とは違う雰囲気を醸し出しています。

そのカウンターの前で買った瓶ものを保冷バッグに入れようと、

腕に下げたままのエコバッグの中でもぞもぞしていたら。

「ここにバッグのせなさい」とお店のマダム。

いいんですか?シートの中にずいっと入ってしまいますが……。

「やりずらいでしょ、いいから、はい」

私のもたもたを見かねたのかマダムが手伝ってくださいました。

なんだかちょっと親切にしていただいただけでも泣きそう、

なのはやっぱり社会の空気がいつもとは異なるからでしょうか。

それとも流石に私もこの風潮に少し疲れているのかしら?

この年になると年上のお方から「こうしなさい」と言われる機会も

減るので、それも妙に懐かしいような嬉しいような気持ちになって。

 

家族経営の老舗店、お店の方はスペシャリストでいつもこちらの

素人丸出しの質問に詳しく答えて教えてくれる。

プロに教えてもらう機会はいつでもどのジャンルでも楽しくて嬉しい。

やっぱり好き好き、ステキな個人商店。

無事に紅麹が入手できて一安心、これで美味しい叉焼が焼ける。

冷やし中華のシーズンに間に合ってよかった。

 

お店を後にしてぶらぶら歩くと新しい店舗や施設もちらほら。

オリンピックを見込んで派手にお披露目予定だったところが

ひっそりとオープンしているのが切ないですね。

海沿いの立派なホテルは開業予定が延期になって、

他人事ながら心配になります、どうなっちゃうんだろう?

 

くさくさしていても仕方がないので、気を取り直して

美味しいイタリアンを出してくれるSくんのお店に向かいました。

普段だったら予約がいっぱいで飛び込みでランチなんて無理だし、

テーブルを一人で占拠するのは稼働率が下がるのが申し訳なくて

とてもできることではないのだけれど。

今なら許してもらえるかな?と覗いてみれば、

正午を過ぎていてもやっぱり空席がある。

ビジネスランチ仕様のお店は結構客足が戻っているようだけれど、

ハレのお店はまだまだ通常には遠いのですね。

辛い……でも空けているよりはいいはず、美味しいものを食べよう!

 

「あ、かのこさん。お昼に珍しいですね」

近所に買い物があったから寄ってみたの、ひとりでもいいですか?

「もちろん!嬉しいですよ、どうぞ」

久しぶりの贅沢ご飯、時間もあるしメインまでいっちゃおう。

ひとりでもお酒が飲めればちょっとは客単価を上げられるのにな。

飲める夫がいないとこういう時に不便かつ申し訳ない。

 

いつも通り楽しくお食事させてもらって、

美味しくて嬉しい、いいリフレッシュになりました。

去年お父さんになったばかりのフロアのSくんが

カワイイお嬢ちゃんの写真を見せてくれたり、

食後にシェフのSくんもお喋りに来てくれて。

そういえば夫以外の人とお話しするのも久しぶりでそれも楽しい?

私は引きこもり耐性が強い方だと思うのだけれど、

半年近いイレギュラーな生活は少々のストレスもあるのかも。

別のテーブルではお友達同士やカップルが静かに楽しそうに

お食事していて、その気配を感じるのもほっとする。

 

それでも多分あらゆる人たちがお互いに、

「うつしてはいけない、うつりたくない」とうっすらと思っている空気が

社会全体を覆っているムードは誰にとってもしんどいものですね。

どの業種でも提供する側もされる側も誰も悪くないのに、

常にどなたも遠慮と危機感を心の中に抱いているように感じます。

その用心が大事な局面であることは重々承知ですが、

それでも早くみんなが笑っていつもの生活に戻れますようにと

思わずにはいられません。

 


人気ブログランキング