電車がない? | 子宮筋腫をとったらば

子宮筋腫をとったらば

2015年12月に開腹で子宮の全摘をした、45歳・既婚・子ナシの備忘録。

ロンドンのJちゃんのところに遊びに行ってきました。

前回の旅行同様、夫よりも先に出発して後程合流するかたち。

2度目のJちゃん宅は相変わらず居心地がよくて。

好きなように美術館を巡ったり地図も持たずにロンドンをさまよったり、

私にしては珍しく豪華なひとりランチをしたりして、都会を満喫。

 

夫とヒースローでの待ち合わせは土曜のお昼過ぎでした。

その日はJちゃんが風邪気味だったので

ご主人のLさんが付き合ってくださってご近所半日ツアーを開催。

彼らのオフィスを見学した後、アートフェアを覗きました。

これがちょっと変わったスタイルで面白かった。

一帯に住むアーティストたちが自宅で個展を開いていて、

見学者は専用の地図を見ながら気になるところを訪ね歩くのです。

作品だけでなく、おうちの様子も見られて楽しい!

すごくおしゃれなキッチンにまで作品のある人もいれば、

カオス?ゴミ屋敷?といった感じのエキセントリックな展示もあって。

作家さんご本人が作品についてもじっくり話してくれてとても贅沢。

 

ちょっとJちゃん宅からは離れてしまったので帰りはバスを利用。

この時点でなかなかいい時間になっていて、

「お昼ご飯はパスだな、朝荷造りしておいてよかった」

とそれでもまだまだ余裕の気持ちでいたのです。

むしろ私よりも時間を気にしてハラハラしているLさん。

「ヒースローまで車で送ってあげるよ?」

いえいえ明日もお義母さんをヒースローに送るんでしょう?

地下鉄で大丈夫だから、だけどありがとうございます。

……でもなかなか来ないバス。

来た!と思って一安心したらきっちり渋滞に巻き込まれるバス。

「あー今日はサッカーの試合もあるからかな」と心配顔のLさん。

なるほど、近所にスタジアムがあってそれっぽい人の姿も多い。

なによりJちゃん宅は繁華なところにあるし、

ロンドンの渋滞は今に始まったことじゃないですしね。

なんとか間に合いそうな時間にJちゃん宅に戻れて、

みんなと慌ただしくさよならのハグをして、

スーツケースを引きずって最寄りの駅へ急ぎました。

 

でもですね。

地下鉄の駅の入り口が封鎖されている!

え?土曜の真昼間に運休?やられたー。

到着の時にこの駅を使っているので注意書きはあったはず。

それなのに全然目に入っていませんでした、これは大チョンボ。

ええと仕方がない、タクシーを捕まえよう。

と思ったらさっき巻き込まれた渋滞はがっつり健在で、

空のタクシーなんてちっとも見つかりません。

どどどどうしよう?

ヒースローで待っているのは夫だけではなくて、

そこから私たちを運んでくれるタクシーの運転手さんもいるのです。

夫だけなら連絡をつけてのんびり待っていてもらえるのだけど。

みちみちに車の詰まった道路とテムズ川を眺めて数秒間呆然。

 

結局汗びっしょりになりながらJちゃんのおうちにUターン。

「あれ?かのこちゃんどうしたの?」

地下鉄が運休だったのーと言いだした瞬間にLさんが上着を羽織って

靴を履いて「送ってあげるから!」と車のキーを掴んでダッシュ。

もうもう大変申し訳ありません、よろしくお願いいたします。

Jちゃんとの2度目のバイバイも慌ただしかったです。

 

車に乗り込んだものの渋滞は相変わらず。

そんな時の頼れるグーグルマップをLさんがセット。

「あのね、地図で見るとヒースローに向かっていないように思うけど、

渋滞を避けてって指示で走るからね、心配しないでね」

ああもう本当にスミマセン、お気遣いもありがとうございます。

「でもさー、みんなが同じものを使ってこのルートを選んだらこれから

行く道が大渋滞になるはずなのに、そうならないの不思議だよね」

そうね……そんなことが起こらないといいけど……。

その渋滞回避のためにとんでもなく細い道まで通らされる車。

「わあ、この道僕も初めて!」

あああこんなことさせてごめんなさい、

でも悪いけどちょっと楽しくなってきた(←失礼な麻痺)。

明日のお義母さんの出発は何時なの?

「午前中だったかな?詳しく聞いてないや」

24時間中に空港に2往復もさせてしまうのね……かたじけない……。

「でもこれからかのこさんが国際線に乗るんじゃなくてよかったよね、

最悪僕がふたりをグロスターまで送ってあげるし」

とてもじゃないけどそこまでは!電車もあるから大丈夫よ!

 

実はこのLさん、イギリス経済界で活躍中の相当お忙しいお方。

そんなお人の休日を使わせて申し訳ないことをしてしまった……。

なのですが、物腰柔らかでジェントルマンを絵に描いたような人。

自宅でも穏やかで優しくて家事参加率も高いしサービス精神も旺盛。

時々口にする冗談に自分で笑っちゃう笑顔もステキ。

実力のある人は余裕があるんだなと感じます。

それと、やっぱりアジアとヨーロッパでは精神的なものが違う?

大小を問わず人助けに対する敷居がかなり低いような?

イギリスに来て人と触れ合うたびに感じることですが、

(大雑把に)同じような規模の島国でもメンタリティはとっても違うなと。

歴史?宗教?物理的な地理?いろいろなことが積み重なって、

多種多様な考え方や常識が生まれてくるのですね。

もちろん人は国では区切れないし、どちらがいいという問題ではなく、

興味深くて面白いことだなと思います。

 

ハラハラドライブはグーグルさんの予測通りに空港に到着!

本当にありがとうございました、とっても助かりました。

「結構早く着いてよかった、グロスターも楽しんでね」

ロンドンも楽しかったです、この度もお世話になりました。

 

到着予定は余裕を持っていたつもりだったのに、

待ち合わせ場所には夫とドライバーさんが揃っていました。

無人のパスポートコントロールになってから、

ヒースロー名物の入国審査が早く済むようになったんですよね。

自分が使った時には所要時間が短くて嬉しかったけれど、

この時ばかりは「ちょっとでも時間がかかってくれていれば!」と

思っていました、我ながらひどく勝手です。

幸いお待たせしたのはほんの短い間だけだった様子。

携帯電話を持たない私。

連絡が取れないと相手に不安を抱かせているという自覚があるので、

常日頃から相当時間に余裕を見て遅刻はしない主義。

それなのに「やってしまった!」という気持ちで落ち込みました。

年を取って注意力散漫になっている(=運休に気づけない)から、

今まで以上に諸々念を入れてよくよく確認して、

自分を疑わないとダメだと反省しています。

 

ちょっとブルーな気持ちで始まった旅の後半、続きます。

 


人気ブログランキング