殺風景この上ない
当ブログへのご訪問
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健やかでありますように…
楓坂四駒堂
木曜版
なんと99回目です。
今回は桃ちゃんコンビで…
次回4コマは
何のこれしき!
「大江戸篇」
よろしく!哀愁
~ドラマ黄金時代の女神たち
最終章
桃井かおり
その26
「花へんろ」Ⅲ
とりとめもなく、私の頼りない記憶の中の「桃井かおり」を書き連ねて早や半年余り…
この「女優遍歴」、一区切りつける意味でもそろそろ締めんとなあ…
と思いつつ、これだけはせめて…と、だらだらとここまで来ました。
「ドラマ人間模様・花へんろ」です。
つくづく思うのは、この「タイトル」の見事さ…。
このドラマの世界観をわずか4文字に凝縮したひらめき…。
「花」+「遍路」…「早坂暁」の造語だそうですが…
人が生きる上で抱く迷いや苦しみ…この根源を煩悩と言いますが…
その煩悩からの解脱の旅こそがお遍路…多分、そんな感じだと思うのですが…
まあ、正直、宗教的なことはようわかってはおりません。
人生が旅であるならば、時としてそれは遍路と言う巡礼の旅でもある訳で
花…即ち、ひとりの女性が懸命に生きた、ささやかな人生を描くドラマにはふさわしいタイトル…そう思った次第です。
的当はずれかも知れまへんで…う~ん。
相変わらず、少し脱線しますが、ドラマ・映画のタイトル。
これってやはり重要…
例えば直近の朝ドラ
「ちむどんどん」と「舞いあがれ!」
どちらがよりドラマのテーマ・内容・雰囲気を言い得ているか…?
しかもしっくり明解に…と…そういうことですね。
「早坂暁」のドラマで発作的に想い出したひとつのタイトル。
またまた古い話ですが、1970年の「東海テレビ」制作のいわゆる「昼ドラ(フジ系列)」
わずか15分の帯ドラマですけどね。
その中でもどちらか言えば「昼メロ(メロドラマ)」路線の1作。
「乱れそめにし」
ね? 観ないでも男と女の妖しい関係が浮かび上がりませんか?
「早坂暁」が引用したその原典はご存知「小倉百人一首」。
「みちのく(陸奥)の しのぶもぢずり 誰ゆゑに
乱れそめにし われならなくに」
「光源氏」のモデルとも言われた「源融(とおる)」の作。
知らず知らずに教養が身につく当コラム…嘘!嘘!嘘でんがな!
現代語に訳しますと…何度もひけらかしますが、これでも文学部国文科…。
「まるで陸奥で織られる「摺り衣」のこの模様のように、私の心がこんなにも乱れ始めたのは、絶対あなたのせいですから…何とかしてつかーさい」…ってな感じです。
やや、盛りましたけど…。
「しのぶもぢずり」…「しのぶずり」とも言って、「忍草(しのぶくさ)」などの植物で独特の文様を摺り込んでつくった衣服のこと…。
「乱れそめにし」の枕詞になっています。
「昼メロ」…道ならぬ恋に堕ちた男と女のどろどろの愛憎物語
このタイトルにこれを持ってきた「早坂暁」のセンス。
取り敢えず、この乱れぶりをちょっと観ておくべえ…
と思ってしまう浅はかさ…ああー!
禁断の恋、義理の母子を演じたのは、たしか…「南田洋子」と「中尾彬」?
昼からこういう濃ゆ~いカップルって…。
誰が観てたんでしょう?
「早坂暁」の秀逸な言葉感覚の話でした。
「花へんろ」
構想は元々あったとは思いますが、このドラマ制作にあたっては、やはり「桃井かおり」ありきという気がしてなりません。
ヒロイン「静子」と「桃井かおり」を常にシンクロさせて筆を進めていったのではないか?
そう思えてなりませんでした。
「早坂暁」がリスペクトの想いを込めて、女優「桃井かおり」に送った…この場合、贈った…かな?…「課題」であり、ある意味での愛情あふれる「挑戦状」。
憑依というのとは違うのですが、「女優」としてこの「静子」という女性の人生をとことん生きてやろう!…「桃井かおり」にはそんな静かな闘志さえ感じました。
基本、ドラマは脚本次第だと思っていますが
脚本家と俳優のこうした関係は素敵です。
こういうドラマがもっと観たいです。
強いて挙げれば
「宮藤官九郎」と「長瀬智也」あるいは「森下愛子」
「向田邦子」と「加藤治子」
「倉本聰」と「八千草薫」等々
そんな心地よい良いタッグによる仕事…。
だからドラマはおもしろい…。
以下次週、もう少しだけ「花へんろ」を…。
そして、またまた哀しいお話です…。
追 悼
坂本龍一
やはり、そういう齢なんだ…ということなのですが
このところ相つぐ同世代の「死」…寂寥感を癒す暇がありません。
多くの人たちが危惧していた「坂本龍一」の健康状態。
奇蹟は起こらなかったということでしょうか?
70年代後半から、日本の音楽シーンを常にリードしてきたミュージシャンのひとり。
「YMO」のシンセサイザーを駆使したテクノポップ…
旧態依然のアナログ人間の私には、正直言って、ついていけないところもありました。
結果としてこの功績は、後の日本の音楽に多くの革命的な影響を及ぼすことになるのですが…とほほ…。
初めてミュージシャン「坂本龍一」の名前を意識したのは…
1979年…
「詞」が…♪あずさ2号(狩人)、♪ハートのエースがでてこない(キャンディーズ)
♪ひと足遅れの春(とんぼちゃん)、♪コーラスガール(和田アキ子)等の
「竜真知子」…同世代。
「曲」が…
♪CAT'EYE(杏里)、♪ゆ・れ・て湘南(石川秀美)、♪恋=Do!(田原俊彦)
♪裸足の季節、♪青い珊瑚礁、♪風は秋色(いずれも松田聖子)等の
「小田裕一郎」…彼も数年前60代で亡くなっていますが…。
コーラスグループ「サーカス」が唄った
名曲♪アメリカンフィーリングのアレンジャーとして…
「レコード大賞・編曲賞」?
「サーカス」…姉弟、3人が揃っていた頃。
湘南に心地よい音楽の風が吹いていた頃ですね。
このグループの際立つ音楽性を見事に具現化した「坂本龍一」のアレンジの力。
その後、「忌野清志郎」との♪い・け・な・いルージュマジック(1982)
翌年には、ポップス志向にやや舵を切った「YMO」での♪君に、胸キュン(1983)。
♪戦場のメリークリスマスを始めとする、映画音楽で世界を魅了するのも、この頃…
「教授」と呼ばれたその音楽的賢知…。
一方で、政治信条などという薄っぺらなレベルではなく、その「音楽」と共に、世の中にきちんと「言葉」を発することの出来るクリエーターでした。
同志「湯川れい子」言うところの、歌を奏で続けた「カナリア」でした。
その力強い「言葉」の数々が、そして「音楽」が…
若い世代のみなさんの心に、今後も何かをもたらすことを願ってやみません。
おつかれ様でした。
かっこいい人生でしたよ。
今夜は♪ライジーンでもなく♪ラストエンペラーでもなく
やはり♪アメリカンフィーリング…聴くことにします。
心よりご冥福をお祈りいたします。
2023.4.2 記
そして「坂本龍一」も愛した映画の話を始めます…。
遥かなるスクリーン
ハイスクール・ララバイ篇5
♪Amore, amore,
amore, amore mio,
'n braccio a te me
scordo ogni dolore.~
「ロマン座」で観た名作映画たち…
5,60年代のイタリアの名画。
イタリア抜きでは映画が語れなかった時代?…。
とは言え、70年代では「ひまわり(1970・ヴィットリオ・デ・シーカ)」
「ベニスに死す(1971・ルキノ・ビスコンティ)」
80年代「ニュー・シネマ・パラダイス(1989・ジュゼッペ・トルナトーレ)」
90年代「ライフ・イズ・ビューティフル(1998・ロベルト・ベニーニ)」
そして近年でも
「マレーナ(2000・ジュゼッペ・トルナトーレ)」
「トスカーナの休日(2003・オードリー・ウェルズ)・※米伊合作」
「おとなの事情(2017・パオロ・ジェネベーゼ)」
「シチリアーノ 裏切りの美学(2020・マルコ・ベロッキオ)」等々
その映画芸術の伝統は変わらず脈打っているのですが…
こうした作品に、メディアはもう少し注目してもいいんじゃないか…
そう思ったりもしています。
さて…冒頭のフレーズですが
♪アモーレ アモーレ アモーレ~ アモーレ ミオ~
いうやつですね…
日本での曲名は♪死ぬほど愛して
「死ぬほど愛する」って…
どっちが死ぬんでしょう?
もう死んでもいい!と思えるくらい愛されたい…。
そんなとこでしょうが、逆なら怖いわ…?
ともかく「ピエトロ・ジェルミ」監督作品「刑事(1959)」のテーマ曲。
この映画も多分この頃の「ロマン座」で…
ひょっとしたら同監督の「鉄道員(1956)」より先に観たかも知れません。
いずれにせよ、どちらも自ら出演している「ピエトロ・ジェルミ」
「刑事」の方がうんと若く感じたので、より混乱します。
やはり「ネオレアリズモ」…こうした刑事もの…サスペンスであってもとことん地味…淡々と…。
それ故に、この強盗事件と殺人事件にかかわる人間たちの哀しみがより際立ちます。
ああ…イタリアも日本と同じ敗戦国だったんだ…。
妙ですが、そんなことを改めて感じました…。
俳優としての活躍もあった「ピエトロ・ジェルミ」…
本物のプロフェッショナルでしたね。
後に「イタリア式離婚協奏曲(1961)」「誘惑されて棄てられて(1964)」といったイタリアンコメディも手堅く撮ってしまう技量。
60才で亡くなってしまったのが残念でなりません。
この「刑事」の有名過ぎるラストシーン…。
可憐で若かった「クラウディア・カルディナーレ」の嘆きと涙…。
逮捕された許婚者の車を追う姿にかぶって切々と流れるのが
♪死ぬほど愛して
♪アモーレ アモーレ アモレ ミオ~ …と
この作曲…イタリア映画音楽の第一人者。
「カルロ・ルスティケッリ」…「ルスティケッリ」でよかったかな…?
「ピトロ・ジェルミ」監督作品では「鉄道員」を始めとして多くのテーマ曲を手掛けています。
「クラウディア・カルディナーレ」主演作品…
前に触れました「ブーベの恋人(1963・ルイジ・コメンチーニ)」
あの心震わせた名曲も彼の作曲。
「映画音楽」の重要性をつくづく思い知る、当時のイタリア映画です。
この「刑事」で想い出すのは…もうひとりの女優。
この頃、数々の名画を観る中で、次から次と新たな外国の女優さんたちを知る訳です…
当時、既に好きだった「スザンヌ・プレシェット」に負けず劣らず
そりゃみなさん、美しいのなんの…困った、実に困った…。
目移りするのを何とか耐えながら…
で、この「刑事」で殺人事件の被害者となる「リリアーナ」を演じた「エレオナラ・ロッシ=ドラゴ」のこれまた完熟の妖艶さ…。
「クラウディア・カルディナーレ」よりひと回りくらい上なんで、当時30代半ば…。
イタリアの女性、特に目力、強いですしね…。
…ああ!困った…
同じ頃だったと思うのですが、これも「ロマン座」で観たある映画で…
全く違う意味で…いや、この言い方まずいかなあ…まずいよなあ
ともかく、とてつもなくインパクトのある女優と出逢います。
役名は「ジェルソミーナ」…
おわかりですね?
次週は「フェリーニ」のあの名画を…。