ご訪問
ありがとうございます。
「楓坂四駒堂」
木曜版でおます。
では…
♪長い夜
朝までまいります!?
う~ん…
どこにサスペンスが
あると言うのか…?
いろいろ考えねば…
次の「ロードショー」も
なあ…
黄金の日々
~ドラマ黄金時代の女神たち
最終章
桃井かおり
その23
サスペンス篇Ⅲ
「火曜サスペンス劇場」
「女検事・霞夕子シリーズ」
「桃井かおり」にとって、これほど長い期間、ひとりの女性を演じ続けたことはなかったと思います。
まず、原作の「夏樹静子」について
7~80年代に人気だった女流ミステリー作家。
更にそれ以前にも、「仁木悦子」「戸川昌子」ら、いわゆる女性ミステリー作家の草分けたちと、習作を競った時期もあるそうですから、そのキャリアは長く…
おそらく、ミステリーマニアから作家になった人だったんでしょうね。
代表作のひとつ「Wの悲劇」でもわかるように、「エラリー・クイーン」のファンであることは、よく知られていました。
「エラリー・クイーン」…ミステリー界の「藤子不二雄」…かな?
ともかく7,80年代と言うと、私も内外のミステリーにはまっていた時期。
カッパノベルスの「松本清張」などを読み漁っていた時期。
「夏樹静子」の「天使が消えていく」も早々に読んでいました。
こういう言い方も今どきはアレなんですが、女性らしい繊細な心理描写と、ごくごく普通の日常に潜む闇…そして本格派並みのトリックの妙。
瞬く間に売れっ子になっていきました。
「霞夕子」はその短編シリーズ。
私はこれを数編しか読んでいませんが、いずれも倒叙形式の作品。
ドラマは1985年から1993年まで実に約8年間。
全10作品。
ということは、ざっと年に1作程度。
現在で言えば…並べるのは変かも知れませんが…
例えば「東山紀之」主演の「仕事人シリーズ」…そんなペースですね。
脚本は1作を除き、すべて「石松愛弘」。
「石松愛弘」…この約10年前の「山口百恵」の「赤いシリーズ(TBS)」
♪ありがとうあなたの「赤い疑惑(1975)」の前半を担当した脚本家。
♪あとどのく~らい 生きられま~すか~…いうやつですね。
※詞・千家和也
そして監督は半数以上を、前述「遺書を送った女」の「恩地日出夫」。
当初はともかく、シリーズが続いていく中で、こうしたスタッフ共々、じっくりと一人のキャラクターを育ててゆく、そんな意図もあったかも知れません。
そんな熱意も感じ、いつも楽しみにしていたシリーズでした。
再度観る機会もさほどなく、記憶は曖昧なのですが…
原作をかなりアレンジしていた印象があります。
ドラマはドラマ…それはごくごく当然のことですが…。
第5作…1988年の「家庭教師の殺人」。
この原作はあの長編「Wの悲劇」なんですが、ほとんど別物…。
実は「薬師丸ひろ子」主演の映画(1984・東映)も、ほとんど原作のイメージはありませんでした。
そういうもんですばい。
この第5作…やはり脚本「石松愛弘」、監督は「恩地日出夫」。
「霞夕子」…まず新任検事として赴任するのが「東京地検」。
そしてやがて「横浜地検」に移動する訳ですが、これが「東京地検」最後の事件。
この時の真犯人役は「吉行和子」。
長年、愛人として尽くしてきた男が、本妻の死後、再婚相手に選んだのは自分ではなく、若い秘書。
「はあ?…どういうこっちゃんねん」
「なめとんのか!われ!」という思いからの殺意…。
まあ、そんな単純に事件は解決しないのですが…。
こういう役を演じると「吉行和子」の存在感は半端ないんで…。
このしたたかな「魔性」って言うか、何て言うか…
私などでは、到底太刀打ちできない訳で…
せんかてよろし!
ともかく「桃井かおり」vs「吉行和子」。
この女優対決…もう、たまらんとです…
この「家庭教師の殺人」…
「家庭教師」というのは「霞夕子」のひとり息子の家庭教師ということ。
この家庭教師(大鶴義丹)が、実は「吉行和子」の息子。
母親をかばって、自分が犯人だと自首する訳です。
再婚相手の若い秘書役…「高沢順子」。
何か不思議な魅力があった…この「高沢順子」についてはいずれまた…。
地検検事…一方、プライベートでは妻であり母でもある「霞夕子」。
実家はお寺…僧侶の亡き父の後を継いだのは婿養子「新克利」。
もう芸能界とは遠ざかっていますが…82才で存命。
俳優座養成所13期生…
「加藤剛」「石立鉄男」「細川俊之」「横内正」「佐藤友美」そして「佐藤オリエ」。
1965年のドラマ「陽のあたる坂道(フジ)」では
映画で「石原裕次郎」が演じた「信次」役など、いい俳優さんでしたね。
こんなふうにリアルな家庭生活も背景にある検事「霞夕子」。
この女性検事を演じる上で、様々な肉付けをしていったであろう「桃井かおり」。
こうした…いわゆる「役づくり」。
言い換えれば、この「役」に新たな命を吹き込む作業ですね。
捜査検事の顔、妻の顔、母の顔、娘の顔…これが過不足なく、絶妙の「桃井かおり」仕様。
何度も言いますが…もうこれは何でもないように見えて、超絶のプロの技…。
それをひたすら観たくて、堪能したくて、ここまで追っかけています。
このシリーズ、第10作で「桃井かおり」は降板しています。
残念ですが、こうした作業の中でのスタッフとの意識の乖離だそうです。
らしいと言えば、らしい…ということです。
評判だったこのシリーズはその後も続くのですが…
「火サス」では「鷲尾いさ子」「床嶋佳子」で…。
好きな女優さんでした…特に「床嶋佳子」は好きでした。
しかし、こうした「桃井かおり」降板の経緯を知っていたので
何の義理立てなのか、あまり観ることはありませんでした。
正直、他の「霞夕子」を観る気にはなれませんでした。
検察事務官(光石研他)との絶妙の呼吸で、事件の真相を鋭く突く「霞夕子」
そして一方、家族との、のほほんとした「霞夕子」。
この間も、多くのドラマ、映画にも出演を重ねながら
「桃井かおり」が10年の歳月の中で、じっくり創り上げてきた「霞夕子」。
総括の最終作を観たかった…つくづく思います。
以下、次週…
「早坂暁」vs「桃井かおり」へ…
遥かなるスクリーン
ハイスクール・ララバイ篇2
♪Oh Johnny Angel
'Cause I Love him
And I pray that someday he'll love me
And together we will see
how lovely heaven will be~
※ lyrics;Lyn Duddy
この当時(1965年)、名古屋駅前にもいくつか洋画専門の映画館がありました…
勘違いかも知れませんが、その多くが、例えば前回の「007シリーズ」のようなアクション・戦争・西部劇といった男性路線が多かった気がするのですが…。
そうでない…例えば恋愛映画なんかは、広小路の「スカラ座」「ミリオン座」で観た記憶があります。
この「フロリダ万才」も多分どちらかで…。
何だかんだ言いながら、結構「プレスリー映画」も観てたことになるのかなあ…。
前に話した、中学の同級生「プレスリー」ファンだった「R子ちゃん」による感化だと思います。
プレスリー世代より少し後の私ですが…
もちろん、中学の頃からラジオで流れるヒット曲は聴いてましたし…
好きな曲もたくさんありました…。
ま、どっちか言うと胸キュンのラブバラード・ラブソング
お馴染みの ♪Can't Help Falling in Love
ポップな感じだと ♪Return to Senderとか…
♪心届かぬラヴレターですね。
この曲が挿入歌だった映画「ガール!ガール!ガール!(1961)」
「ステラ・スティーブンス」が出てたやつですが、これも観てます。
「ステラ・スティーブンス」…
60年代のプレイメート(PLAYBOY)の一人。
とびっきりかわいいアイドル女優でした。
「ディーン・マーティン」の「沈黙部隊/サイレンサー(1966)」
「ジーン・ハックマン」の「ポセイドン・アドベンチャー(1972)」など
彼女の出演作も何本か観てます。
そして「アカプルコの海(1963)」…
♪Acapulco, sleeping in the bay~
Acapulco, wake up and greet the day~
えー…主題歌 ♪Fun in Acapulcoでしたっけ?
この映画の共演は「ウルスラ・アンドレス」。
彼女は「007は殺しの番号(ドクターノオ)」…
つまりシリーズ第1作、初代の「ボンドガール」
そして「アン・マーグレット」目当てだった「ラスベガス万才(1964)」。
海外旅行もまだままならぬ時代…
フロリダやらハワイやらメキシコやら…カラフルなリゾート地の絵柄を楽しみながら、脳天気な筋立てで、万才しまくる「プレスリー」のヒットナンバーを堪能できるミュージカル?
そして共演はキュートなおねえさんたち。
振り返れば…この私
さして世の中を憂えることもなく、のほほんと過ごした平和な日々でした。
一番、脳天気だったのはおまえだろう?という話です…。
で、この「フロリダ万才(1965)」
この映画のお目当ては、「エルヴィス」というよりも、実はこれも共演の…
「シェリー・フェブレー」。
この少し前の1960年前後、彼女が出演したアメリカのテレビ映画がありました。
以前、このコラムでも取り上げたこと、あるんですが「ドナ・リードショー」
あの頃欠かさず観てた大好きな番組でした。
日本では「うちのママは世界一(1959~・フジ~TBS)」というタイトル。
典型的なアメリカの中流家庭「ストーン家」の日常を描いたホームコメディ。
そこには、世の中の仕組みなど何も知らない当時の私にとって、アメリカという国への憧れがたくさんつまっていました。
♪ママだから~ だからネ
ママだけよ~ だけよネ
ど~このだ~れも かなわない~
う~ちのマ~マは 世界一~タカタッタ
う~ちのマ~マは 世界一~
「三木鶏郎」作詞・作曲のこの日本版主題歌
今でも唄えますけどね…唄わんでよし!
♪~タカタッタ~ 懐かしい名曲です。
ところで、5,60年代のアメリカンポップス…いわゆるオールデイズの数々…。
中でも当時のガールズポップスで、いまだに揺るがぬ私の神曲ベスト3。
繰り返し繰り返し、何度も何度も聴き返してきた永遠の青春ソング…。
定番の「コニー・フランシス」何故か入ってないんですけどね…。
まずご存知、「ザ・ロネッツ」の♪Be My Baby
嫌いなおとうさん、います?
♪Say you'll be my darlin'
(Be my be my baby)
Be my baby now~
(My one and only baby)
Whoa oh oh oh~
中坊でも意味、わかるほどの…なんちゅうどストレートな恋心。
当時はこんなん、多おましたなあ…。
「ヴェロニカ・ベネット(ロニー・スペクター)」…
彼女が亡くなって、もう1年になります…
ほぼ生涯現役のクィーン・オブ・ロックでしたね…。
そして、何故か「ダイアン・リネイ」の♪Navy Blue
好きだったんです…この曲も。
キュートな声…如何にもアメリカ…なお嬢さん!
余裕でこんな曲、作る国と戦争して勝てる訳、おまへんで!
そして残る1曲が、前述「ドナ・リードショー」で「ストーン家」の長女「メアリー」こと
「シェリー・フェブレー」が番組内でも唄った
♪Johnny Angel
冒頭に挙げたのがその一節…。
若い方でもご存じの方は多い筈…?
♪(I'm in heaven~)
I get carried away
I dream of him and me
And how it's gonna be
(Other fellas~)
Call me up for a date
But I just sit and wait
I'd rather concentrate~
何てかわいい詞なんでしょう!
洋の東西を問わず、恋する乙女のいじらしさ…。
「rather concentrate」…辞書で調べたりして…
只々ひたすら彼を一途に想っているわ…
イントロのコーラスのエコーが流れる度に…
青春前期、中学生の胸はキュンキュンと騒ぐのでした…ああ!
それがいまだに続いている…
あまりの成長の無さなのか、ボケの始まりなのか…?
ドンピシャのタイプというほどではなかったのですが
「シェリー・ヘブレー」
ともかく♪Johnny Angelの女の子。
ブレークした彼女が「エルヴィス」と映画で共演と知って…
ま、そんなのがきっかけだったと思います。
映画は…まあ…その…何と言うか…ね? むにゃむにゃ…
すいませ~ん!
長くなりそうなんで…「夜霧のしのび逢い」
次週にしのび逢い?ます。
今回も長々と書き連ねてしまいました…。
最後までお読みいただきましたみなさまに
明日も幸せが訪れますように…。
最後に訃報です…。
追 悼
大江健三郎
1967年…
「万延元年のフットボール」がまさに青春真っただ中
文学部を志望していた私には、
「大江健三郎」の著書を紐解くことはひとつの挑戦。
私にまず読み解くことが出来るのか…?
心躍る冒険でもありました。
この時代の他の若い作家たちの作品同様
そんな想いで手にしたものでした。
ある意味、同時代の「石原慎太郎」とは対極をなす作家。
その志は違えども、自己表現の色合いは違えども
共に発言し、行動する作家でした。
しかし「文学」というのは…
こうした二人をも繋ぐ何かをも持っていたような…。
後年になって、離反が激しくなるほどにそんな気がしていました。
何かを強く感じながらも、何もできない自分からすれば
晩年に至るまで、常に眩しい存在でした。
謹んでご冥福をお祈りいたします。