こういうことも
あったのではないか?
という
今回も繋ぎのエピソード
次回4コマは
「何のこれしき! 大江戸篇」
~ドラマ黄金時代の女神たち
最終章
桃井かおり
その2
やはり最初は映画女優のイメージが強く…
「浅丘ルリ子」の妹を演じた「愛ふたたび(1971・市川崑・東宝)」はともかく
続く「あらかじめ失われた恋人たちよ(1971・清水邦夫・田原総一朗・ATG)」
「赤い鳥逃げた?(1973・藤田敏八・東宝)」
「エロスは甘き香り(1973・藤田敏八・日活)」
「青春の蹉跌(1974・神代辰巳・東宝)」
「竜馬暗殺(1974・黒木和雄・ATG)」等々
どちらか言えば童顔…白い肌…エロティックな肢体
独特な倦怠感を纏った、物憂げでアンニュイなせりふ回し
ま、それぞれの映画において強烈な刺激を受けた記憶があります。
その後も「幸せの黄色いハンカチ(1977・山田洋次・松竹)」
「男はつらいよ 翔んでる寅次郎(1979・山田洋次・松竹)」
「もう頬杖はつかない(1979・東陽一・ATG)」
「夕暮れまで(1980・黒木和雄・東宝)」
「青春の門 自立篇(1982・蔵原惟繕・東映)」等々
脇に回った後も、その存在感は衰えず。どれもこれもが記憶に残っており…
ま、見繕って何本かを…とは思ってはいるのですが…
取り敢えず「ドラマ黄金期」…ドラマの話を…
記憶にある最初の出演ドラマ。
そうですね…わが「吉永小百合」主演の「花は花よめ(1971~・日テレ)」
ご存じの方は少ないでしょうが、「吉永小百合」が「夢千代」以前に芸者さんを演じたドラマです。
こんなのもう「サユリスト」以外、おぼえてまへん。
「桃井かおり」はその後輩…一番下っ端、見習い芸者の役。
多少「海ちゃんモード」、入ってたかなあ…。
たしか「緑魔子」とコンビだった筈。
取り敢えず、ふたりとも可愛かったっス。
でも、私…ひたすら「吉永小百合」ガン見してた訳ですから…。
余談ですけど、「緑魔子」の旦那、「石橋蓮司」とも共演、多いですね。
そもそも、早くも2本目の映画「あらかじめ失われた恋人たち(1971)」で、共演してますもんね。
、
実を言えば前述の数々の映画より先に、「桃井かおり」の存在を強く意識したドラマがあります。
一目惚れしたドラマと言っても過言ではありません。
これもテレビドラマ史上に残る名作。
1973年秋
「木下恵介・人間の歌シリーズ(TBS)」の12作目。
「山田太一」脚本
「それぞれの秋」。
父「小林桂樹」
母「久我美子」
長男「林隆三」
次男「小倉一郎」
長女「高沢順子」
この5人家族のそれぞれの秋…。
この後の「岸辺のアルバム」での長男「繁(国広富之)」に繋がるのですが
新島家の次男「稔(小倉一郎)」の目線によるドラマの展開。
ほぼオンエアー時に観たきりの記憶なんですが…
それでも強烈な印象が残っています。
おもしろい!「山田太一」はほんとにおもしろい!
さて肝心の「桃井かおり」
長女「陽子(高沢順子)」が通う高校のスケバンのリーダー役。
この時、この「桃井かおり」の制服姿を覚えてません…フェチでもないんで…。
セーラー服姿だったらお宝でしょうが…ブレーザーだった記憶もありません。
ジャージだった気もするし、私服だったかも…う~ん。
ともかく、この時「桃井かおり」…22才くらい?
その後の「桃井かおり」をご存知なら、このスケバン役、なんとなく想像つくとは思います。
ぽっちゃり気味でしたが、やはりチャーミング…
この時も独特の台詞回し…何なんでしょう?
うまく説明できませんが…
ふてくされるというのとは少し違うんですが、少しぼやき加減で放つ台詞‥
スケバン役なのに、そこはかとなく生真面目さが出てて…。
もうたまらなくて…このドラマで一気に見事に魂、持ってかれました。
以来、実に半世紀、信者のままです。
たしか、妹「高沢順子」がこのスケバングループの標的にされ、熱き兄貴「小倉一郎」が、意を決してこのグループを諫めに行く訳です。
成り行きで、この兄がリーダー「桃井かおり」にビンタをくらわせます。
ありがちですが…初めての経験…
「オヤジにもぶたれたことがないのに!…」アムロ並みのショック。
スケバン「桃井かおり」はこれを契機に、「新島稔」にぐいぐい惹かれていってしまいます。
このあたりの「桃井かおり」のお芝居…何となく想像つきませんか?
かわいいったら、ありゃしない!
このおぼつかない恋心の表現が「桃井かおり」テイスト満載。
唯一無二
この人の時代が来る…そう直観しました。
今だから言える?…そうかもね…あはははは。
でも、ホント、輝いてましたから…。
さあ…
「木下恵介アワー(TBS)」…「3人家族(1968)」「兄弟(1969)」「二人の世界(1970)」などで注目された、「山田太一」脚本の家族ドラマ(ホームドラマ)。
その後の「山田太一ワールド」の方向性を指し示すかのようなドラマだった気がします。
余談に突入しますが、先は急ぎませんので…悪しからず。
思えば「山田太一」の「季節」への拘り。
それはドラマの「タイトル」への拘りでもあり…
「それぞれの秋」の2年後、同じ「小林桂樹」「小倉一郎」で
「もうひとつの春」。
「岸辺のアルバム(1977・TBS)」を挟んで
「夏の故郷(1976・NHK)」…「竹下景子」主演ドラマですね。
同じくNHK「夏草の輝き(1977・NHK)」…これは「それぞれの秋」の「林隆三」主演。
少し飛んで
名作「早春スケッチブック(1983・フジ)」…「岩下志麻」+「山﨑努」。
「冬構え(1985・NHK)」…1982年の「笠智衆」主演の「ながらえば(NHK)」に続く「老い」をテーマにした力作。
この3部作とも言うべき「笠智衆」主演「今朝の秋(1987・NHK)」。
この「笠智衆」と本日2度目の登場、わが「吉永小百合」の共演作は1989年
「春までの祭(フジ)」…美しき未亡人「吉永小百合」。
東芝日曜劇場「それからの冬(1991・TBS)」
「大原麗子」…40代最後の主演ドラマ。
もっとなが~く、愛したかった女優さんでしたね。
1993年の福島テレビ開局30周年記念ドラマが「秋の駅」。
もうタイトルだけで「山田太一」…
「秋の駅」。
この主演だった「田中好子」…
「大原麗子」同様、もういないんですね…。
1999年「春の惑星(TBS)」
2012年の「キルトの家(NHK)」に続くような男女6人の群集劇。
「緒形拳」「中井貴一」「いしだ壱成」「倍賞美津子」「ともさかりえ」「手塚里美」出演。
このタイトルもグッドセンス。
2002年「この冬の恋(フジ)」
今で言うと「パパ活」に近いのかなあ…所謂、金銭による交際契約。
この二人を「田中美佐子」と「小林稔侍」。
おとなの恋の物語?
他にも多分あるのでしょうが
こうした日本の四季を効果的に描いた作品群。
それ以前にも師匠「木下恵介」との共同脚本「まだ寒い春(1965・TBS)」があるのですが…
先駆けとなったのが「それぞれの秋」でした。
スケバン「桃井かおり」を「放置少女」にしたまま、以下次週…う~ん。
「岩谷時子」編Ⅲ
さて、次はどの曲を?
迷うほど数の多さなのですが…。
プロの技…
要はオーダーに最大限応えるという
真のプロ作詞家の力量がよくわかる例を…。
「ピンキーとキラーズ」をご存じですか?
アメリカのバンド「Spanky and Our Gang」を覚えている方ももう少ないでしょうね。
1960年代、実に昔の話、しかもマニアックなんで…まあ、いいんですけどね。
「ピンキラ」はこのバンドの編成をそっくりそのまま真似て作られました。
女性ボーカルにバックは男性4人、髭だったり、山高帽だったり…
そもそも「ピンキー」こと「今陽子」同様、この「Spanky」もふっくらしてましたね。
しかしこのアイデアは大当たり。
仕掛人「いずみたく」作曲のデビュー曲
♪恋の季節は270万枚の大ヒット。
「ピンキラ」は一躍茶の間の人気者に…。
1968年のことです。
どうでもいいですが、私、大学受験の年。
この曲の作詞を担当したのが「岩谷時子」。
夏の空を真っ赤に染めて燃えた恋
でも…
死ぬまで私をひとりにしないと言ったあの人は
今はもう…
やたら明るい「今陽子」のボーカルのせいで
うっかり錯覚しそうになるのですが
これはもう想い出になってしまった恋の季節。
極めてオーソドックスな失恋ソングなんですね。
しかし、ここで「岩谷時子」が仕掛けたのは、らしくない?「キラーワード」。
「夜明けのコーヒー」
♪ふ~たりで飲もうと あ~の人が云ったァ…
当然、その前段階…即ち、一夜の秘めたる出来事がある訳で…
その前段階こそが重要であって…
当時、彼女のいない男たちが、みんな夢に見た「夜明けのコーヒー」…ううっ
受験勉強の徹夜明けで、ひとり、夜明けの即席麺をすすっていた身としては…
大学に行ったら、そんなこともあるんかい?…と。
大学にはまだ見ぬ彼女が待っていると信じていたあの頃
…あほでおますやろ?
さて問題はこの大ヒットの後の話。
直後、「ピンキラ」はドラマ主題歌を2曲
これをシングルとしてリリースしますが、ま、それほどのヒットには…
そして…翌1969年初頭、満を持しての4枚目のシングルが
♪恋の季節の続編とも言うべき
♪涙の季節
メガヒットを受けた、ま、2匹目のドジョウ狙い…。
版元キングレコードとしては当然の戦略。
創り手としては、かなりやりにくいだろう…と
そう思うんですよね。
1曲目を凌ぐとまではいかなくても
2番煎じという酷評は避けたい…。
少なくともヒットチャートを賑わすレベルは保ちたい。
考えたでしょうね…「いずみたく」を中心とした制作スタッフは。
まったく別なシチュエーションの「季節」の物語にするのか?
前作♪恋の季節の物語をそのまま引き継ぐか?
結果、選んだのは…
やはり未だ諦めきれないあの夏のあの恋
想いはまだまだ消え残ったまま…
ならば「あのひととき」の想い出をより鮮明に…
そして、「夜明けのコーヒー」のおとしまえを…。
それを受けて…
作詞「岩谷時子」はどんな言葉を用意したか。
唄い出し…どんなフレーズで攻めるのか?
何でもないように思えますが
最初、これを聴いた時には正直、唸りました。
プロは凄いわ!
これがそれ!
♪あなたが 耳元で
ささやいた 夜明けは~
この2行ですべてを物語ってしまう超絶テクニック
少し早く目覚めた彼が入れたであろう
夜明けのコーヒーの香りが揺らぐ、まどろみの中。
耳をくすぐる、彼のささやいた言葉って…?
何でもよろしおす!
このひととき…
♪私は今 あなたのもの~
この「今」という言葉の切ないリフレーン
♪涙の季節
無駄のない、実に短い詞なんですけどね…
このメロディにはこれしかない…という完成度。
当然、大ヒット…しつこいですが凄いです。
以下次週!