3/20(水)東京芸術劇場 プレイハウスへ行ってきました。
 



何度か見た事がある「リア王」ですが、特別シェイクスピア作品好きでもないですが、今回は、キャストが魅力的だったからですかね。そして、演出が、ショーン・ホームズさんで外国の方だから、また違った雰囲気になるでしょうし…

段田安則 小池徹平 上白石萌歌 江口のりこ 田畑智子 玉置玲央 入野自由 前原滉 盛隆二
平田敦子 秋元龍太朗 中上サツキ 王下貴司 岩崎MARK雄大 渡邊絵理 高橋克実 浅野和之

社長や重役が座るような椅子が登場し、右奥にはコピー機(に見えたけど、プロジェクターかな?)があり、左手前には、ウォーターサーバーがあったかな?
そんなとある会社の1シーンのような雰囲気で始まった舞台でした。
なるほど、設定は現代な感じだから、登場人物は、スーツだったり、娘三人は、ピンクのワンピースを着て、私生児役は、カジュアルな格好をしているのね。

玉置さん演じるエドマンドは、その恰好を見た瞬間、以前みた『ジョン王』で小栗君が演じていた役を彷彿させました。そういえば、あれにも玉置さんは出演してましたね。

シェイクスピア作品って、甘言で惑わす人が必ずいるような気がしますね。そして、真実を見抜けず、振り回されて、人生を狂わせていくストーリーですもんね。シェイクスピア作品に限らず、大なり小なり、現実でも起こってるでしょうしね。

そうそう、舞台装置が斬新。娘たちに譲る領土についての説明を、白い壁に映し出した図で説明していく。何より、突然白い壁を破って、舞台から役者が去っていくのも、ビックリしたわびっくり

段田さんのリア王は、表面だけしか見ない、意固地な年寄りといった感じで、娘二人に虐げられる中で、末娘の真の思いやりを知る事になるけれど、その死をみとる事になるのが実に哀れ。狂ったようになるのは、現実逃避なんだろうけど、実際は狂ってないのだろうから、更に哀れさが増す。

江口さんと田畑さんが、エドマンドの愛と将来をめぐって、女の駆け引きを行うのが、実にリアルだった。しかし、妹を毒殺しておきながら、自ら命を絶つ姉は、ある意味潔い。仮に命を取られなくても、夫を裏切り、生きて恥をさらすくらいならというところか…
そのシーンも、背を向けていたとはいえ、ナイフで自らを刺してる回数が多くてショック
あれが演出だったんだろうけど、あれは死にきれない思いを表していたんだろうか…

末娘の上白石さんは、出番こそ少ないけれど、姉二人とは見た目の雰囲気もかなり違うから、より一層素直な感じがにじみ出ていた気がする。見方によっては、融通が利かないともいえるけど、思いをうまく言葉にできないのは、不器用ゆえともいえるしね。

それにしても、周りをうまく操り、立ち回っていたはずのエドマンドが、エドガーの剣で命を終えるというのも、あっけない。何だろう…人生の絶頂は突然終りを告げるという事か?最後に、正直者が一矢報いるというところか。
玉置さんは、時々、舞台装置の白い壁に、イラストを何度か書くシーンがあるのですが、あれって、結構大変そう。あれで、場面転換させてるのも、凄い。
舞台装置を極力なくして、演じさせてるのも、一興。

小池さんが、あんなみすぼらしい格好で舞台立ったことってあるかしら?
『デスノート』のL並みに、中腰姿勢が多くて、見ているこっちが腰が痛くなりそうだったあせあせ(飛び散る汗)生きぬくために、身をやつし、ある意味運が味方し、最後には仇を討つことができたのが、せめてもの救い。父親の姿を見て、どれほど苦しかっただろうか。
浅野さんと小池さんのシーンは、辛いけれど、少しだけ微笑ましいシーンでもあり…

浅野さんは、時々、笑いを誘っていたけれど、後半が実に気の毒な状況で、辛かったショボーンどちらも、自分の息子でありながら、罪なき息子にしいた苦労と、自分がしてしまった事への後悔は、生きる気力すら奪った感じでした。

高橋さんが演じる忠実な家来役は、本当に絵にかいたような人物で、あの人の諫言を聞いていたならば、こんな悲劇は起こらなかっただろうに…
うるさい事を言う人ほど、大事にすべきなのに、人はそうなれないんでしょうねぇ~
やっぱり、上にたつとイエスマンが欲しくなるんでしょうかねぇ。

道化役の平田さんが、とても新鮮でした。
道化がある意味、物事の道理を説いてるようなセリフの数々が、あの風貌と声のトーンで話されると、妙に聞き入ってしまう。

今までみたリア王とは違ったテイストで、よりドロドロ感が増して見えたのは、現代によせてきたせいかなぁ。理解しやすくしてあるというか…

公式HPは、こちら…https://stage.parco.jp/program/kinglear