4/10(日)PARCO劇場へ行ってきました。

何度となく、色々な方が主役を演じてきたと思うこのお芝居ですが、初めて見ました。
段田さんが主演だし、他にも魅力的なキャストの方々だったので、ようやく見る事にしました。
 



主要キャストは、この方々。
 


 


 


 


 


 



年老いたセールスマンの話という事くらいしか、知りませんでした。
どんなお芝居もそうでしょうが、見る時代や、見る側の状況によっては、
様々な感想を持つ事になるんだろうなぁ~と思いました。

昔はやり手のセールスマンだったであろう主人公が段田さん。
妻が鈴木保奈美さんで、2人の息子が、福士誠治さんと林遣都さん。
段田さんのお兄さんが高橋克実さんで、近所の住む友人のチャーリーを鶴見辰吾さん。

見ているうちに、正直イライラしてきました。
主人公は、自分の過去の栄光に浸りがちで、現実を直視しようとしない。
あの時代は、専業主婦が殆どだったせいもあるのだろうけど、妻も何かといえば、
夫にお金の事ばかり相談し、短気な夫を怒らせないようにと、顔色を窺っている。
長男も高校でアメフト(だったかな?)のスタープレイヤーで、スカウトされて、

大学進学すると思ったのに、夢かなわず、今も定職についていない。
次男も、なんとなくブラブラしてる感じ。

言葉は悪いけれど、どいつもこいつも、「しっかりしろよ!」と言いたくなる。
でも、一番悪いのは、やっぱり主人公ウィリーだろうなぁ。
現実を見ないのは、自分の事だけでなく、長男が進むべき道までも、

自分の思い描く道を歩ませようとする。今でいえば、毒親の印象だった。

高校時代に、アメフトで挫折して、出張中の父親に助言を求めようと会いにいったら、
不倫してる父親を見てから、幻滅して、誰にも言わず、自分探しをしていたのだろう。
数年ぶりに会っても、相変わらずの父親だけど、優しい性格ゆえか、

理想の息子を演じようとするが、ようやく現実と向き合い、父親の束縛というか呪縛から逃れて、

今後の人生を生きていこうとする点が、希望である。
福士さんが、尊敬していた父親像が崩れても、母親に告げる事もせず、1人葛藤する様子がリアルでした。

かたや、林さん演じる弟のハッピーは、名前通り、現実を適当にかわしながら、
日々楽しくどうにか生きていければいいって感じの能天気さがありました。
福士さんと対照的に、深く考えてない感じがよく出てました。
今でも、いや、今だからこそ、逆に、そういう若者は多いかもしれないですね。偏見かな?

誰しも、バイトにしろ、パートにしろ、派遣にしろ、正社員にしろ、

とにかく働いてみないと、わからない現実はあるからね。
同じ会社でも、部署が違えば、状況はまた全然変わってくるし…
サラリーマンやった事無い人にはわからないけど、そんな楽な仕事じゃないんですよね、実際。
昔、父に「テストは100点じゃなくても、いいけれど、仕事はそうはいかないから…」と言われました。
その時は、「ふーん」って思ってましたが、社会人になって、意味がよくわかりました。

ウィリーは「あの時こうしていれば…」と成功した兄ベンの事を思いだしたりするけれど、現実は、二代目の社長にお情けで老いてもらっているだけで、ほぼ仕事がない。そんな中、友人でもあるチャーリーが手を差し伸べるのに、断る。
プライドの高さゆえ、そんな好意も素直に受け取る事はできないし、
以前とは、経済状況が逆転してるのに、いまだにチャーリーを見下してるからに違いない。

なんだろうなぁ~今もセールスマンだから、ちょっと違うけれど、
会社を辞めたのに、会社時代の役職にすがりついてる人みたいな感じ?

仕事も失い、ローンはまだ残っていて(といっても、あと1回分の返済だったかな?)
自分の存在価値をどこにも見いだせなくなってしまったせいか、自殺を選ぶのよね。
その亡くなってしまう様子を、舞台中央に置かれた冷蔵庫の中に入っていくんだけど、
それが、イマイチ、よくわからなかった…
うーん、冷蔵庫は食べ物とか沢山入っていて、豊かさの象徴って事?
それとも、家族がこれからも、ひもじい思いをせずに暮らしていけるようにという意味?

自分の栄光の昔話(殆ど作り話か?)は、饒舌なのに、プライドが高くて、

家族に対して命令口調な感じは、遠い昔の日本にもいたよね。
まぁ、今も会社には、いるかな?時代錯誤な人は時々…

今は共働きだから、鈴木さんが演じるリンダのような奥さんは少ないのかもしれないけれど、

お財布を握ってるのが旦那様という家庭なら、何を買うにもお伺いを立てる家庭もあるかもしれない。
鈴木さんは、段田さんの奥様役を、あの時代の雰囲気の衣装を着て、素敵でした。

親の意に沿うように生きてる子供たちも、今も沢山いるかもしれない。
昔、東大医学部を受験して、面接で志望した理由が「親に言われて」と答えた受験生がいたとか…

(もはやどこで聞いた話かも覚えていないけれどあせる

まぁ、本人が他にやりたいこともなくて、死ぬほど嫌な事でもなくて、
ある程度納得できてるなら、親のアドバイスと思って進むのも悪くはないと思う。
でも、やりたいことが他にあるのに、嫌々やってるなら、どこかで自分自身が耐えられなくなってしまうかもしれない。
そうなったら、他の道に進むのもありだと思うけど、それができるくらいなら苦労しないという場合もあるか…

どんな事をいわれても、手を差し伸べてあげるチャーリー役鶴見さんは、人の良さがにじみでてました。

ああいう人は、本当にいい友人なのにね。

高橋さんは、成功したビジネスマンで、少ししか登場しないけれど、
弟のウィリーとは真逆で、未開の地に挑戦する度胸の良さが感じられました。
ああいう人が、実業家っていうものになるんでしょうね。

話があちこち飛びましたが、色々と考えさせられる舞台でした。

内容を知ってかしらずか、かなり年配のお客様が多かった気がします。
皆さん、どんな感想をお持ちになったんだろうか。
まだ、地方公演真っ只中と思うので、機会があれば、いかがでしょうか。

公式HPは、こちらhttps://stage.parco.jp/program/salesman/