聲の形(こえのかたち)の読み解き方 | マンガ大好き! ~漫画のよろず屋的ブログ

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マンガ ときどき、色んなホビー。
そんなブログです。

こんにちは。かどえもんです。

このところ
アニメ映画が元気ですね。

「君の名は」
興行収入100億突破

聲の形(こえのかたち)
公開10日ちょいで
10億突破と

何だか数字感覚が
マヒしそうな勢いです(笑)


映画「聲の形」より

中でも聲の形
漫画原作ということで

マンガ好きなあなたなら
ご存じかもしれませんね。


聲の形1巻表紙

私は週刊マガジンで
読んでいたクチですが
単行本では未読です。

というのも、
他の作品と違った雰囲気がある点が
好きな作品ではあるのですが



誰かをいじめたり
攻撃したりといった
殺伐とした雰囲気もあり
そんな所が苦手だったからで・・・。



でも、映画「聲の形」の影響で
また作品に触れる機会も増え

その中で読んだ
作者自身が語るテーマ
について理解したところ

作品に対する評価が一変して
最高クラスに素晴らしい作品だと
感じるようになったんです。



上3点、1巻より

今回は
そんな情報をあなたにも伝えたくて
記事を書かせて頂きました。


序盤で挫折したり
漫画は読んだけれど、ちょっと・・・。
と感じた方にも

今回の記事
読んで頂ければ幸いです。


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聲の形 について
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まずは作品の概要を。

聲の形(こえのかたち)は
2013~2014年に
週刊少年マガジンで
連載された作品です。



2013年36・37合併号表紙

2014年コミックナタリー大賞で1位
このマンガがすごい!2015のオトコ編も1位
マンガ大賞2015では3位


あとは
第19回手塚治虫文化賞新生賞
その他諸々数点・・・

・・・という
凄い実績を持つ作品です。

作者は
大今良時先生。

本作のほかに
マルドゥック・スクランブル
も執筆されています。


マルドゥック・スクランブル1巻表紙
本来は聲の形がデビュー作と
なる予定だったのですが
掲載について色々あったらしく・・・



タイトルも
声の形ではなく
「聲」の形という
めずらしい漢字(旧字体)を
使っていますが

これは
漢字の中に
声があって、
耳も手もある。



1巻のタイトル。
ちょっと分かりづらいですが
聲の右上は「ほこづくり」
といって手に関する意味も持っています
(・・・らしいデス(/ω\))


伝える手段も声以外に
いろんな形があるんだよ。


という想いを込めて付けた
タイトルだったんですね。


ストーリーは
敢えて軽めに解説させて頂きますと

元いじめっ子の
石田将也を中心として



聴覚に障害を持つ
西宮硝子



様々な友人や大人たちの
葛藤やコミュニケーションを
描いた作品
です。


上3点、7巻より

全7巻で、1巻が主に小学生時代
2~7巻は高校生時代のお話しになります。
(7巻は少しだけ成人になってからの
お話しも。)


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作品に込められた
テーマについて

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この作品は

「人と人とが互いに
気持ちを伝えることの難しさ」

「人が人を知ろうとすること、
関わろうとすることの尊さ」


そんなことが
テーマになっています。


例えば将也を例とると

小学生時代の彼は
自分にとって理解できない
難聴の転校生硝子に
様々な形でいじめを行いました。


理由は楽しいから・・・。

それでも硝子は
いじめに屈することなく

自分なりに気持ちを
伝えよう
としているのですが
うまく伝わらず。


なぜ硝子が
こんないい子(?)なのかは
後々明らかに・・・。


その後
硝子は転校します。


元々障害に理解のある学校に
転校する予定だったようで。



それから6年後。


例のいじめの影響で
クラスから孤立

誰とも関係を
持とうとしないようになった将也は

人生の整理をつけるため
硝子との再会を果たすのですが


上4点、1巻より
人生の整理・・・と
さらっと解説しましたが、実は・・・。


硝子自身は許している様子ですが
周りがそれを許さない
・・・といった状況で。


2巻より
本気で謝る気持ちのある
将也なのですが
それは自分の為とも・・・。


それでも努力したり
様々な事件を経ることで

段々と
様々な人と関わり合い
許され
周りに認められる
ように
なっていきます




このように、

理解すること
理解されることの難しさや尊さを
意識するシーンが多く見られます。



4巻より31話の1コマ。
このあたりから
硝子の母への見方が一変したなあ・・・。
理解することの難しさ
尊さがよく表れています。


実は作者である
大今先生も、

読者に
意見を聞いてみたい

という気持ちで描いていたそうです。

全日本シーエム放送連盟での
インタビューで
先生はこう仰っています。

例えば、耳が聞こえない(音程が取れない)硝子が合唱コンクールに参加すべきなのかどうかというのを、硝子の立場からじゃなくて、クラスメートや先生の立場からだったり。
どれが一番正義か、どれが道徳的に良いのか、どんな選択でみんながハッピーになれるのか、自分では答えが見つからなかったんです。
純粋に意見を聞きたいな、と思ってそのまま描きました。



先生の提案に
あなたならどうする?


このシーン
善意の強要されているようで
あまり好きじゃない(´・ω・`)



クラスメートのいじめが
大きな問題となったとき
あなたなら、どうする?


これも
みんな罪をなすりつけているようで
辛い・・・(´・ω・`)


そんなことも考えながら読むと
もっと深く作品を味わえそうです。



5巻のこれも
作者からの問いかけ・・:かも。


あなたも
実際に苦手な人や
理解できない人はいますか?

もし、いたとしたら
この作品は
心が辛い作品になり得ます。

でも、安心してください。

作品のテーマを意識した上
読み進めていけば



作中のキャラたちが
ぶつかったり、我慢したり
自分なりの答えを出したりする
様子を見て


自分もひょっとしたら・・・
そんな気持ちになれるはずですよ。


上記2点7巻より。そういう意味では
2つともすごく好きな
シーンです。(´∀`*)




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様々な演出も
作品に深みをだしている!?

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また
作中で説明されない
演出や描写も見られます。


例えば、以下2点は1巻の
将也のお母さん。

ここは将也が硝子をいじめた為
お母さんがこれから
謝りに行くシーン
ですが

謝る前では
ピアスをしています


が。

その後では
ピアスが外れ
うっすら血の跡も・・・



何かあったのは
容易に想像できますね。



もう1つ。
2巻時点で右耳に
補聴器をしていた
硝子が


6巻では、しなくなっています。


耳の障害が進んでしまって
もう聞こえなくなってしまったことも
推測できますね。

これを踏まえた上で
6巻のとあるシーンを見ると

右耳が
聞こえてないんだなあ・・・(´・ω・`)
と確信が持てます。


これらの事実
なぜ作中では
語られないのでしょう。

このマンガがすごい!
のインタビューで
大今先生は、こう仰っています。

主人公の将也が知りえないことは読者には知らせない、将也が気づいていないことは取りあげない、つもりでした。
将也が注目していない事柄には、読者の注意を向けさせないようにしてました。


だから、敢えて身近な人である
将也の姉の顔を出さなかったり



将也の興味がないキャラにの顔には
「×マーク」が
ついていたりするんですね。



物語りの後半で
この「×マーク」が
剥がれていくシーンがあるんですが

これは将也の
良いことも、悪いことも
全ての聲に耳を、意識を傾けよう
という気持ちの表れ
だと思っています。


7巻より
このシーンは
感動的だった・・・(´;ω;`)


こういった演出や
描写があるから、
むしろ1度読みきって
あらすじを理解した上で

もう1度読むと
新たな発見があるかもしれません。

それくらい、深い作品なんですよ。



左が2巻で右が7巻より。
前半の影のある笑顔や
後半の柔らかな表情など。
硝子の表情
すごく気を遣っている印象です。
ここも必見!?



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聲の形は
どこで読める?

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聲の形は全7巻!
とても読みやすい
ボリュームです。



元々発行部数もありますし
映画化のおかげで
更に増刷もかかっています。

ですので、購入、レンタル共に
容易
なのはありがたいですね。

例によって試し読み
置いときますよ。(/・ω・)/
http://kc.kodansha.co.jp/title?code=1000006490

また、キンドルをお持ちでしたら
1巻まるごと無料
で読めますので
オススメです!

こちらもご利用ください~。
http://qq4q.biz/yJph

(10/7追記)
電子書籍サイト「ソク読み」でも
1巻まるごと読めるようです!
http://sokuyomi.jp/product/koenokatat_001/CO/1/
※2016年12月現在で
上記2点の無料読みは
終了しているようです…。

更に公式ファンブック
あるのですが
現在品薄なせいかプレミア価格に・・・。

色々と裏話が載っているようなので
増刷されたら購入してみようと思います!
(その際に、今回の記事を
加筆修正するかもしれません・・・)


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あとがき
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いや~、今回は書いていて
色々しんどかったですが
やりがいみたいなものも
ありました(;´∀`)

マンガを読んでどう感じるかは
勿論その人に委ねられるのですが

この作品ほど読む人によって
評価が変わるのも
珍しいんじゃないでしょうか。


2巻より
そんなとこまで
互いに気持ちを伝えることのむずかしさが
潜んでいるとは(苦笑)


かくいう私も
週マガで読んでいた時は

過去の過ちや今あるコンプレックスと
どう向き合うか

といったことがテーマなのかな
・・・と勘違いしていました。


将也視点で見てると
そうなる・・・よね(´・ω・`)


それならまだマシですが

いじめや他者否定など
攻撃的なシーンが鼻につく
くだらない作品だ!

・・・なんて思われたままなら
ちょっと悲しいな。
と思うのです。


上2点1巻より

勿論、先ほども書いた通り
感想は読む人にとって様々ですが

もう1歩踏み込んで
作品の底にある
聲(こえ)を感じ取って頂けたら
評価が変わるかもしれません。


7巻より

100人中の100人に
理解されたいわけじゃない。

でも
1人ぐらいには気付いてほしい・・・。
そんな聲も
聞こえてきそうな作品ですね。


この記事で
あなたにも
その聲が聞こえますように。

というわけで。

あなたも
聲の形
いかがですか。


この作品の持つ想いを知った時
今より少しだけ
人にやさしくなれる作品です。
 

いつものあなたも。はじめてのあなたも。読んでくださってありがとう!
記事を楽しんでいただけたなら、ぽちって頂けると嬉しいです!

 

今回の記事は急に書きたくなって
つい更新が遅れてしまいました…(´Д⊂ゴメンナサイ
ほんとにいい作品ですので、多くの方に本当のテーマが伝わると嬉しいです。
余談ですが「聲の形」って普通にタイピングしても出ないので辞書登録しましたよ。
検索では「こえのかたち」か「声の形」でも割とヒットしました・・・(/ω\)

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