忘れじの”琉球侍” | エビ☆ログ

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角海老ボクシングジム公式ブログ

9月9日です。ナイナイの日です。

一時期ナイナイの単独ライブを毎年やっていたんですけどね。


さてさて先日の「最強後楽園」の写真を整理していたら、

ある人物の写真が目に飛び込んできました。


エビ☆ログ-平仲明信


愛弟子・中森宏選手をライト級覇者に導いた

平仲ボクシングスクールの総帥・平仲信明会長がセコンドに就いているシーンです。

上の写真と9月9日という日付から

筆者の脳裏には18年前のあるシーンが否が応にも蘇ってきました。

本日は久々に「今日は何の日」をお送りいたしましょう。


過去に6名の世界チャンプを輩出した南国・沖縄は

日本最大のボクシング王国ですが、

地元・沖縄から世界に羽ばたくということに固執し、

情熱を実らせた不屈のファイター、それが平仲明信選手でした。

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野性味溢れる風貌で無骨な野武士といった勝負師独特の雰囲気を醸し出し、

右ファイタースタイルで対戦相手をバッタバッタとなぎ倒していた平仲会長、

実はロサンゼルス五輪に出場した超の付くアマチュアエリートでして、

その実績が最大限に評価され、異例の8回戦でプロキャリアをスタートさせます。


世界王座獲得に匹敵するくらい驚異的な偉業は

わずか10ヵ月後、プロ4戦目で日本J・ウェルター級王座を制したこと。

無論、この出世スピードは辰吉丈一郎選手(大阪帝拳)と並ぶ日本記録。

以後9度の防衛に成功し、「国内敵なし」無人の野を突っ走る圧倒的な強さで

WBA1位に駆け上がった平仲会長には世界挑戦のチャンスが舞い込むのは必然でした。


89年4月29日、イタリアのバスト。

WBA同級王者ファン・マルチン・コッジ(亜)に挑戦した平仲会長は

前半に2度のダウンを奪ったものの、判定に涙を飲みます。


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この敗北は、不屈の闘魂を燃え滾らせます。

世界チャンピオンと実力的に遜色ないことを肌身で実感した平仲会長は

KO勝利での雪辱を期し、尋常ならざる熾烈な練習を自らに課しました。

が、コッジへの再挑戦が決まった矢先、

頑健な肉体と精神力を持つ平仲会長を予期せぬ不運に襲われます。

オーバーワークによるミオグロミン尿症。

3ヵ月の安静を言い渡された平仲会長の世界再挑戦は

振り出しに戻ることになってしまいます。


コンディションの回復を待ち、リスタートされた交渉は暗礁に乗り上げます。

業を煮やした平仲陣営は自ら海外まで交渉の席に出向き、

プロモーターに直談判。

その甲斐あって、世界戦内定に漕ぎつけるに至ったものの、

王者エドウィン・ロサリオ(プエルトリコ)には怪我という口実のサボタージュ(?)をかまされ、

今度は度重なる延期に翻弄され続けました。


だが辛抱強く待ち続けた平仲会長の思いは実を結びます。

92年4月10日、会場はメキシコシティのエル・トレオ闘牛場。
平仲会長は戦闘が開始されるや、

まさに”怒れる闘牛”の如く、眼前の獲物に向かって獰猛に襲い掛かり、

わずか92秒で2階級制覇王者ロサリオを失神に追い込む大金星を挙げ、

日本列島を震撼させました。

最近の例で例えるならば、西岡利晃選手が敵地メキシコで

ジョニー・ゴンサレスをKO防衛した時に覚えた衝撃に似たような感覚でしたよね。


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TV中継はなく(後日ニュースステーションのスポーツコーナーで放送されたはず)

インターネットなんていう文明の利器が普及する遥か前の時代。

情報が極めて乏しい中、夕刊に掲載された一枚の写真、

コーナーポストに駆け上がって「獲ったど~~~」と歓喜する光景が

ありとあらゆる想像を掻き立て、逆に鮮明なる記憶を残しています。

試合後のリング上で外国人アナウンサーのインタビューを受け、

通訳を通じ、日本語で受け答えしている姿は”琉球のサムライ”そのもの。

何より”天下のドン・キング”からの祝福を日本人が受けていたことに

妙な興奮を覚えたものでした。


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凱旋初防衛戦は1992年9月9日、日本武道館。

サウスポー、モーリス・イースト(比)の前に力尽き、

死に物狂いで掴み取った虎の子のベルトを明け渡してしまった平仲会長は

再起に強い意欲を示し、可能性を模索し続けたものの、

ドクターストップに抗うことはできず、無念の引退を余儀なくされます。

しかし、”沖縄初の世界王者”平仲会長の残した功績は大きく、

のちにOPBF東洋太平洋S・バンタム級王座に就く

仲里繁選手(沖縄ワールドリング)を筆頭に

平仲会長の影響を受け、意志を継承した”沖縄育ち”の骨太なボクサーが

活躍することになったわけです。

エビ☆ログ-角海老ボクシング

10月1日の「角海老ボクシング」では”琉球対決”が実現します!

石川雄策(角海老宝石)vs又吉康幸(沖縄ワールドリング)の53.2キロ契約8回戦、

石川選手は浦添市出身で、又吉選手はうるま市の出身。

強さを追い求め、断固たる決意を胸に秘め、愛する故郷を離れた男と、

地元に残り続けることが自身を磨き上げる最良の手段と信じて努力する男の対決。

熱戦必至の第4試合、

対決する両者の人間模様にもご注目いただければと思います。


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