芸術の秋です。普段から絵を見に行くことが大好きな人もいることでしょう。

私は一番最近は、まじぁと&こーたの絵と人形展を反町のいつものTARA TARAに見に行きました。長澤さんの水墨画も今回は出品されています。

いつもさらさらとどこでも絵を描いてくださる長澤さんの絵が額縁に入っているとまた趣も異なるもの。

その前はアンリ・マティス展を8月の始めに見に行ったのですが、自分が考えていたのとは全く異なるマティスの人柄にも出会うことができました。

 

まじぁとさんとこーたさんの展覧会はおしゃべりする環境を絵や人形たちが整えてくれているという感じですが、美術館ではなかなかおしゃべりできません。最近は日本内外の美術展でも大いに話しながら見ていいよ、という日を設定しているようですが、一人で絵に向き合いたい人にはなかなかそれも苦痛でしょう。

 

そう考えると絵の鑑賞って何かと不自由なことも多いです。

それだけじゃない。絵を見るとどうしても、画家はこの絵で何を伝えたかったのか、ということばかり知りたくなって、それもまた鑑賞といえるのかどうかと思ってしまいます。いわゆる絵のメッセージとか、技法というやつです。私も授業でよく絵を使うのですが、やっぱり同じようにテーマやメッセージについて最終的には手っ取り早く語ってしまう。でも歌や小説のように、絵だって解釈がいろいろあっていいはずです。歌や文学は、言葉やメロディが主体なので、どうしても哀しい、うれしい、楽しい、という雰囲気だけは何となく伝わってしまうものですが、絵はその時の気持ちによって、そして人によって見え方が変わったりする。

 

今日の南澤悠佳さんの「おしゃべり鑑賞会」はまさにそんな普段の私の気持ちを大いに満たしてくれるワークショップでした。

はるかさんとゆーすけさんがプロジェクターも用意してくださいました。

 

 

まずはいろいろなアート作品のカードを床に並べて、それぞれ今日の気分の作品を選びます。

 

 

色で選んだり、描かれているもので選んだり…

 

長澤さんは孤高の立つ人の絵。いつでも起こっていることを見守ったり横から見ている自分の姿をそこに重ね合わせました。

 

私は鹿のインスタレーションのカード。思わずほかの人からも「それを選ぶと思ったなあ」といわれてしまった。いや、実は、ちょうど皆が集まる前に、10月3日のこども食堂の話を庭田さんとしていたばかりだったから。その日は西伊豆でハンターとして活躍している保苅優雅さんのジビエで料理の日なんです。庭田さんが鹿肉のハンバーグを作ろうと言っていたので、思わず「鹿」となったワケ。でもこうやって見るとやっぱり神々しい鹿の姿。命をいただくってなかなか大変なことです。

Oさんは黄色が主体の素敵な絵。ちょっぴり明るい自分の気持ちを表してくれているそう。

順子さんが選んだのは…・わたしはろうそくの炎の部分だと思ったのだけれど、純子さんにしてみたら、スポットライトの中に立つ人の絵ということ。確かにどちらにもとれる。これって見る人の気持ちを反映しているのだね。

久しぶりに来てくれた恵子さんは帆を張った船の絵・・・に見えるもの。もしかしたら建物かもしれないけれど、やっぱり船なんだ。これは今まさに船出の時でもある恵子さんの姿でもある。

小宮さんは緑色の木立が水面に対照的に映っている絵。緑に惹かれたそう。

 

これはアイスブレークの部分だったのだろうけれど、すっかり話が盛り上がってしまった。人の話を聞いていると今まで見ていた絵のイメージが変わってくるから面白い。

 

 

ということで、後半はいよいよみんなで絵を見ていろいろ考えて、話して聞く第2段です。

まずはるかさんに手順を教えてもらう。よく見て、いろいろ自分で考えて、そのことをみんなに話す。聞いた後でまた同じ絵を見ると今度は他者の目を通してみた絵が新しい情報をくれる、それをまたみんなで話してどんどん絵を深堀していくというわけ。本当にその通りになりました。

 

 

はるかさんが選んだ一枚は、浮世絵みたい。3枚一組になっているようです。

さあ、まずは寄ったり寄ったり!近くで細部を見たり、遠くから構図を見たりとじっくり見てみよう。ここからは自分の時間です。

 

続いてみんなのおしゃべりタイム。話したい人から手をあげて話します。

 

右上に書かれている字「横浜異人商館写真之図」とあるから、これは横浜の港の風景なんだ。

そしてみんな描かれている人物について語ります。

ドレスの人は海外の人?なんとなく髪の色が違う。海外の人ってこんな風に描かれたんだね。

いや、これは日本人がドレスを着ているのではないかな。この時から日本人も洋装を始めたのでは?

真ん中の門の中に立っている人は中国の人?商館へと向かう女性二人は、着物の着方から花魁さんのように見える。中の宴会などに呼ばれているのかな。右の男二人のうち一人は通訳?商館の前に立っている人も一人は通訳かな?日本人との間に商談もあったのではないかな。

 

よ~く見ると右側にはインドから来たような人もいる。

遠近法を取り入れながらもなんとなく不自然な気がする。

 

門の様子を見ると、左側の一枚だけ、右側が欠けているみたい。

それぞれの下に絵を描いた人と、あとこれは彫った人かな。名前が出ている。

 

向こうは海。つまりこの門から向こうは関内なんだね。

 

とにかくいろいろな意見が出まくり。はるかさんがすごく上手にファシリテーションしてくれるので、一つの意見からどんどん次の意見が出てきてとまらない。一枚の絵でこんなにもいろいろなことを語れるとはね~。全く新しい鑑賞の方法だ。

 

大切なことは、だれがいつ描いたとか、そんな情報は全く与えられないこと。それは後から自分で調べればいいものね。

結局一枚の絵であっという間に時間が来てしまった。またやりたい、鑑賞会。

 

ということで、目と耳の鑑賞会の後は、味覚の鑑賞会です。

 

庭田シェフの今日の一品!今日はマーボー茄子の日です。虹色からいただいた茄子も料理します。

 

油を中華鍋で熱して素早く料理するのがコツです。

少ない油でいためた茄子を取り出して、そのままひき肉を炒めます。

そして加賀シェフが作ってくれるのは・・・見えないけれど、この下に細かく刻んだキャベツの千切りが入っている。ちょっと重しをして、ザワークラフト風のサラダにします。

 

おいしそう!

 

たっぷりのきんぴらも加賀シェフのお得意料理。おいしいだよね、これが。

 

庭田シェフのマーボー茄子。ちょっと加えられた緑がきれい。

 

 

忘れちゃいけない野菜と豆腐のお味噌汁。いい匂い。

 

デザートは、松本の友人が送ってくれた葡萄!ハニーシードレスという名前にふさわしく本当にとろけるように甘かった。

 

皆でさっそくいただきます!お野菜たっぷりのこちらもお皿の上の一枚の絵です。

 

みて・かんがえて・はなして・きいて、そしてそのあとは「味わって・またはなして・きいて」とこちらもループの鑑賞会。

 

 

帰り道、中村川沿いはいつの間にかストリートアートの祭典となっていました。

今日はカドベヤの帰りもアートだったのです。

 

なんだか本当に贅沢な一日。

はるかさん、みなさん、ありがとう。