今日は天気予報では雨が心配されたけれど、うれしい裏切りだった。
遅刻して10時ちょっと前にカドベヤ向かっていくと、
「おとなり市」の緑ののぼり
が風にあおられてパタパタと翻る。そのおとなしい緑に対して小室さんの蛍光色の緑色が対照的で元気が出る。
空気は春。向かいの内田内科クリニックの入り口でほっぺたをまだらに赤くしたチューリップが揺れている。ちょっとしたことで人の心も翻る。被災地でも瓦礫の中に小さな緑が生まれ出ているのかな。
今日の仕入れ野菜は
大根、キャベツ、ほうれん草、トマト、小松菜、泥ごぼう、長ネギ
すべて地元のおいしそうな野菜たちだ。中にはバンでわざわざやってきてくれたお客さんもいる。聞くと宮城出身のご夫婦だそうだ。このあたりでも被災者支援ができないか、と思っていたところなのでこんな近くで支援させてもらえるということで飛んできた、とたくさんかって行ってくださった。
またカドベヤの近くの会社の方も来てくださった。すっと3千円を差し出して、この分のお野菜をください、と。しかも「一番売れ残っているのをたくさん入れてくれてかまいません」。残ったお金はすべて被災地義援金ボックスに入れてくださった。町内会の方もきてくださった。こんな感じで近所に知り合いができていく。駅の方向に向かって急いで歩いていた女性は一度通り過ぎてそのまままた戻ってきてくれて、急いでもと来た道を戻ってお財布を取りに来てくれて、しかもエコバック持参できてくれた。
皆さんありがとうございます。
それにしても野菜って本当に個性が豊かだ。先週売っていたほうれん草と今日のほうれん草はまた違う。先週のほうれん草はすっとした背高のっぽ。今日のほうれん草は背は低いけれどむっちりしていてお尻が先週のよりぽっと赤い。かわいい。こういった野菜を見ていると、育てた人の気持ちがつたわる。
今日はとにかくのんびりのんびりで売らんかな、ではなく買ってくれたらな、の気持ち。のんびり日向ぼっこしながら、ご飯食べながら、お昼寝しながら地震もまた今日来たけれどゆっくりと時を過ごす。金澤さんご夫妻が来てくれて、お手製の看板まで持ってきてくれる。岡部さんが即席で作った「東日本大震災支援のチャリティ朝市やっています」はり紙も貼って、のんびりしながらも急に入り口界隈がにぎやかになる。
入り口にでんと座った坂本さんが絵になっている。(坂本さんのお昼寝姿も絵になっていた。)山田さんの「いらっしゃいませ~」の明るい声が春の風にそよそよ乗って響く。
こんなお野菜で作ったお昼を皆で一緒に食べる。かんちゃんはお昼に合わせてグッド・タイミングで到着。キャベツは図体は大きいくせに中は本当にやさしい春キャベツ。やわらかさが手にうれしい。昔O.ヘンリーの作品で春キャベツがビニエットに使われた短編があったと思う。「スプリング・ア・ラ・カルト」という題名だったかな。O.ヘンリーのドライなユーモアが打ち消されて甘あまの短編になっていたような気がする。ということで春キャベツは十分甘いんだから、ちょっと辛くしてみたい。
春キャベツのアンチョビッとピリ辛炒め
にんにく(スライスしてオイルでいためておく)
春キャベツ丸ごと一個 ざく切り
アンチョビ(好きなだけ。みじん切り。入れすぎると辛くなる)
鷹の爪
塩・胡椒
お味噌汁は大根とねぎ。大根の葉っぱを入れるとちょっと苦味が出ておいしい。
山田さん、かんちゃん、おいしいですかあ
2時ちょっと前に「動く教室」の黒沢美香たちがいらっしゃる。美香さん、並べられたお野菜の背景がひどく気に入ってくださって、お野菜を並べたままで踊るのがいいですと外に向けて音楽をかけだすと、急に朝市の終わりが活気付く。今日は最後の最後までお野菜はしっかりと売れていった。最後のお客さんは「動く教室」の参加者の新井さんたちだったんだけれどね。
先週の売り上げと今週の売り上げで横浜の野菜を震災や原発で苦しむ土地にコトラボの岡部友彦さんが送ってくれる。岡部さん、よろしくお願いします。