スター俳優の銀ちゃんと大部屋俳優のヤスは主従関係にあり、銀ちゃんは妊娠した恋人・小夏をヤスに押し付ける。快く引き受けたヤスは小夏と生まれてくる子供のために危険な仕事を次々と引き受ける。そんなヤスに対し小夏にも愛情が芽生えるが…。監督は深作欣二、出演は平田満、風間杜夫、松坂慶子、原田大二郎、蟹江敬三、清川虹子等です。
（1982年度：松竹・角川）
実に奇妙でありながら深い関係で結ばれている主役三人の人間模様をコミカルに、そして感動的に描いた人情喜劇の秀作です。映画界の撮影所における暗部を敢えて描き、笑いの一部にしている点も称賛に値します。憧れの銀ちゃんのためなら何でもする超お人よしのヤスを平田満が好演。最大の見せ場である伝説の「階段落ち」（いや伝説の「階段這い上がり」と言った方がいいかも）のシーンは何度見ても胸が熱くなる名場面です。そしてそんなヤスを引き立てているのが銀ちゃんです。超わがままな性格で一応スターだけど大根役者というアクの強いキャラを風間杜夫が熱演しています。そしてこれも伝説化してるラストのオチには心地よい「やられた感」があります。80年代といえば日本映画にとって不毛の時代ですが、本作は数少ない名作の一つです。
（ＮＨＫ-ＢＳで再鑑賞）