昭和10年代の大阪を舞台にした没落名家の四姉妹の物語で、原作は谷崎潤一郎、監督は阿部豊、出演は花井蘭子(長女)、轟夕起子(次女)、山根寿子(三女)、高峰秀子(四女)、田崎潤、田中春男等です。
(1950年度:新東宝)
実質「こいさん」(末っ子の女の子の呼称)が主役です。四姉妹で一人だけ洋服を小粋に着こなし、恋愛に対して積極的なモダンガール。その一方で、職業は日本人形を製作する先生で、日本舞踊も華麗にこなす大和撫子。しかし、お嬢様らしいわがままな性格が玉に瑕。そんな四女を高峰秀子が好演し、数々の難題が描かれていきます。古いモラルにとらわれない自由奔放な四女に振り回され、あたふたするお姉さんたち。とっくに没落しているのに、まだプライドだけは高い。そんな名家の悲哀が印象的です。文芸作の割にはストーリーの起伏が激しく、見応えのある面白い作品に仕上がっていました。
(日本映画専門チャンネルで鑑賞)