盲目の天才音楽家レイ・チャールズの半生を描いた作品で、監督はテイラー・ハックフォード、ジェイミー・フォックス、共演はケリー・ワシントン、レジーナ・キング等です。
（2004年度：アメリカ）
本作はレイ・チャールズが亡くなってから製作されたのではなく、生前中から企画されていた作品で、レイ本人も主役選びのオーディションに参加するなど、積極的に協力したとか。なので、細部まで拘っており、彼が歩んできた人生の有りのままを描いています。レイ・チャールズはゴスペルとＲ＆Ｂを融合させ、ソウルミュージックというジャンルを確立した天才ミュージシャンです。しかしその一方、私生活では麻薬に溺れ、隠し子まで作ってしまう無類の女好き。音楽から離れると「人間失格」な人物でした。輝かしい業績と共に、ダメ人間ぶりも隠すことなく描いている点に好感が持てました。他人の人生と比較するのはどうかと思いますが、エディット・ピアフほどドラマティックな人生だとは思いません。でも、映画の出来栄えは『エディット・ピアフ～愛の讃歌～』よりも本作の方が断然上です（『ピアフ』も決して悪くはない）。所々で子供時代のエピソードをフラッシュバックさせる構成が巧みで、もちろん数々の名曲が満載、単なる伝記映画ではなく、娯楽作としての面白さも十分持ち合わせている音楽映画の秀作です。レイ・チャールズに成りきったジェイミー・フォックスの熱演が素晴らしいです。
（ムービープラスで鑑賞）