守銭奴のペテン師一家と、彼らが関わる人物たちとのお金をめぐる駆け引きを描いたブラックコメディーで、監督は川島雄三、出演は若尾文子、伊藤雄之助、山岡久乃、浜田ゆう子、川畑愛光、山茶花究、高松英郎、船越英二等です。
（1962年度：大映）
公団住宅の二部屋のみを舞台とし、登場人物が全て悪人というユニークな作品です。娘を有名作家の愛人にして金を搾り取らせ、芸能プロに勤める息子に会社のお金を横領させるペテン師一家。一方、彼らがカモっている人物たちも一癖も二癖もある怪しい奴らばかり…。そこへ彼らをも手玉に取る魔性の女（若尾文子）が加わり、腹黒い戦いがユーモラスに、そして刺激的に展開されていきます。歌舞伎調の音楽が効果的に使われていて、窓から見える真っ赤な夕焼けをバックにして、ペテン師一家の娘と息子が踊り狂うシーンが強烈な名場面となっています。それと出演者の心情を白く長い階段を使って抽象的に表現したシーンも印象的で、全盛期の若尾文子の大人の色香が実に魅力的でした。芸達者な面々による黒い笑いが満載のピカレスク喜劇の秀作です。
（別サイトに投稿したレビューを引用）