一匹狼のヤクザ追分の生き様を描いた正統派の股旅物で、原作は村上元三、監督は池広一夫、主演は市川雷蔵、共演は長門勇、小川真由美、長谷川明男、小池朝雄等です。
(1968年度:大映)
雷蔵が過去に傷を持つ冷徹な渡世人「人斬り伊三蔵」を好演しています。シャキッとした姿勢のいい立ち姿が実にカッコいいです。その伊三蔵の過去が徐々に明らかになっていく構成が上手く、痛みが伝わってくるリアリティーのある殺陣も見応えがありました。それと客分になれば飯のおかわりは一回だけで、就寝に使う布団は冬でも一枚だけ。そして博打で勝ち逃げはしない(最後の勝負は負けて場を去る)等、渡世人の細かい仕来りが興味深かったです。雷蔵が晩年に残した秀作の一つです。
(時代劇専門チャンネルで鑑賞)