たゆたう海へ――
その日までの、つかの間のさよなら
先週末、
かけがえのない大切な人との
別れがありました。
人は誰もがいつか旅立つものだと、
頭では分かっていたつもりでした。
けれど、ふとした瞬間に
あの眩しい笑顔を思い出すと、
静かに一筋の涙が頬をつたい落ちます。
「もう一度会いたい」
大切な誰かを見送ったことのある人なら、
きっと誰もが
そう願うのではないでしょうか。
たったそれだけのことが、
今はどうしようもなく愛おしく、
そして決して叶わない。
もしも、
カレンダーを後ろにめくっていけるのなら。
一枚、また一枚と過去へ
手繰り寄せることができたなら、
あの日のあなたに会えるのだろうか。
どれだけ時間が
僕をすり抜けていこうとも、
行き場を失った愛情を、
今はただ胸の奥へと静かに
染み込ませています。
叶わぬ夢だと知っていても、
この想いを抱き続けることでしか、
明日を迎えることができないから。
「あなたは今、どこにいるのだろう」
そう問いかけても、
返事はありません。
長い旅を終え、
生まれた場所へと戻っていくあなた。
もう会えない現実はあまりにもつらく、
こわいけれど、
それは誰にも変えられないこと。
小さな命を
燃やして生きているこの世界で、
最後には僕も、
いつか皆そこへ行くのだから。
だからこれは、
永遠の別れではありません。
その日までのさよなら。
ほんの、つかの間のさよならです。
振り返れば、
あなたの存在がどれほど多くの
感動と温もりをくれたことでしょう。
人生は愛おしく、
去りがたいもの。
いろいろなことがあったけれど、
何よりもかけがえのないあなたに、
いま心からの言葉を贈ります。
「出会ってくれて、本当にありがとう」
たゆたう海へと還っていく
あなたに向かって、
いま、精いっぱいに手を振ります。
