「生きていくということは、思い通りにならない」
お経の中には、このような教えが出てきます。
風の強く吹く日に
「なんでこんなに風が強いんだ」と
文句を言ったところで、
風が止んでくれるわけではありません。
世界は、
決して自分の思う通りには動いてくれないのです。
「親孝行がしたいな」と思った時には、
もう親はこの世にいないかもしれない。
自分が一生懸命に努力したことが、
必ずしもすべて実を結ぶとは限らない。
そして極め付けは、
人の命には必ず終わりがあるということ。
その終わりが「いつ」「どのような形」で
訪れるのかは、誰にも分かりません。
だからこそ、
生きるということは
「思い通りにならない」のです。
お釈迦様は、この「思い通りにならないこと」を
『苦』という漢字一文字で表されました。
有名な「四苦八苦」という言葉があります。
生(生まれること)
老(老いていくこと)
病(病気になること)
死(死んでいくこと)
これらはすべて、
自分の力ではどうにもできない
「思い通りにならないこと」なのです。
私は『花鳥風月』という飲食店を始めて、
おかげさまで25年になります。
25年という長い歳月を重ねていくと、
これまでずっと関わってきた大切な方々との
「お別れ」も増えてきます。
「もっと長くお話ししたかった」
「もっと長く生きていてほしかった」
そんな切ない出来事に、
幾度となく直面してきました。
先日、
オープン当初から
『花鳥風月』に通い続けてくださっていた
県議の方が、24日に亡くなられました。
醤油ラーメンとおむすびが大好きな方で
辛い料理は超苦手!胡椒でさえもヒーヒー!て
夏になると 冷麺しか食べない。ほど
花鳥風月の冷麺が大好きな方
コロナ禍で厳しい時期も、
深刻な米不足に悩まされた時も、
誰よりも早く
「困ったら何でも声をかけてね」と
あたたかい言葉をかけてくださった方でした
。
店を支え、
私を支えてくれた大切な方の訃報に、
言葉にならないほどの
淋しさがこみ上げています。
「生きることは、思い通りにならない」
その言葉の重みを、
今また深く噛み締めています。
思い通りに行かないからこそ、
今日という日を、
今目の前にいる人を、
そして与えられた縁を、
大切に噛み締めながら
生きていかなければならない。
そんなことを教えていただいた気がします。
心からの感謝とご冥福を祈りながら、
今日もまた包丁を握り、
お迎えする一人ひとりのお客様に
心を込めて向き合っていきたいと思います。
これまで本当に、
ありがとうございました。

