ずいぶん昔、
あるご老僧から…
今でも忘れられない話があります。
ある家に待望の跡継ぎが生まれ、
親戚や近所の人々が集まって
「おめでとう!」と
歓喜に沸いていた時のことです。
誰もが笑顔のその真ん中で、
ご老僧だけはピシャリと、
激しい声で一喝されたのです。
「喜ぶな!」
一瞬にして凍りつくその場。
お祝いの席でなんて縁起の悪いことを…と
誰もが憤慨する場面ですが、
ご老僧は真剣な眼差しでこう続けました。
「あのな、生まれるということは苦しみなんだ。 ここはお寺だぞ。
僧侶なら、
その真実を真っ先に伝えなければならん!」
正直、
その時は
「めでたい場面でそこまで言わなくても……」と思いましたが、
仏教には**「四苦八苦」**と
いう言葉があります。
これは人間が
避けられない苦しみを分類したものですが、
その一番初めに据えられているのが、
生まれる苦しみ――
**『生苦(しょうく)』**です。
この世に生まれるということは、
老い、病、そして必ず訪れる「死」への
カウントダウンが始まること。
決して自分の思い通りには運ばない、
過酷な世界に旅立ってしまったのだという
厳然たる事実を、
ご老僧は誰よりも深く受け止めていたのです。
……とはいえ、
新しい命の誕生には心から
「おめでとう」と言うのが
良いに決まっています。
ただ、一方で
「生きる上での苦しみ」を
教えてくれる視点も、私たちは必要なのです。
最初から
「人生は思い通りにいかないものだ」という
前提(覚悟)があるからこそ、
逆境の壁にぶつかった時に
前を向く強さが生まれます。
そして、
苦しみがある世界だからこそ、
いま手の中にある小さな幸せや、
大切な人の存在といった
「当たり前の有り難さ」が、
心に沁みてわかるのではないでしょうか。
あの時、
ご老僧が放った「喜ぶな!」という一喝。
それは冷徹な言葉などではなく、
これから
荒波の大海原へ漕ぎ出していく命への、
仏教者としての
**「最大にして最深の愛の鞭」**だったのだと、今なら深く理解できるのです。
生きる。とこは
本当に大変なことです
花鳥風月も
この浮世を生き抜くために
岩国地域振興券の加入店です
両方
花鳥風月では使えます。


